我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第二百九十五話 魔王と勇者の出会い

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「ふむ、では、タロはバルディスという者に世話になっているのだな?」

「にゃあっ(そうなのだっ)」


 しばらく飼い主と会話をして、どうやらちゃんと言葉が通じているらしいということを確信した我輩は、飼い主と話せる事実が嬉しくて、頭をスリスリと飼い主の胸に擦りつける。


「……本当に、会話できたなんて……」


 そして、マギウスは、我輩達の会話には入らずに、ぼんやりと突っ立っているのみ。どうやら、マギウスは我輩と飼い主が会話できないと思っていたらしい。
 元々、飼い主とはほぼ言葉が通じる状態だったため、最初に会った瞬間には違和感がなかった。しかし、さすがに固有名詞を言い当てられるとなると、飼い主も我輩と同じように、『言語理解』の能力を持っているのだろうと思えた。


「ふむ、では、そのバルディスとやらにも挨拶をしておきたい。道案内を頼めるか? タロ」

「にゃっ! (任せるのだっ!)」

「はっ? ちょっ、えぇっ!?」


 ボーッとしていたマギウスがようやく元に戻って、何やら我輩に案内してはいけないようなことをこっそり言ってきたものの、それにはうなずけないのだ。きっと、飼い主なら、バルディスの力にもなってくれるはずなのだ。

 そうして、戸惑うマギウスと堂々とした飼い主を連れて、我輩、宿屋へ戻る。その頃になると、マギウスも諦めたのか、『どうなっても知らないから』と言いながら、バルディスが居る部屋をノックしてくれた。


「マギウスとタロと……もう一人は誰だ?」

「タロの飼い主らしいよ」


 すぐには入室許可を出さずに、警戒するバルディス。ただ、どうやら部屋に居るのは、バルディス一人ではないらしい。


「この気配、まさか……」

「ケント、でしょうか?」

「む? ディアムとラーミアか?」


 扉を挟んで、お互いがお互いの正体を言及する状態。そして、我輩と会う前に、ラーミアとディアムの二人と会っているというのは、少しだけショックだった。


「にゃあっ(我輩、もっと早くに会いたかったのだ)」

「すまない。タロ。私も捜してはいたのだがな」


 そうして、しばらく部屋の中で話し合いが行われたらしく、少し経つと入室の許可が下りる。


「ようこそ、ケント殿?」

「むっ、歓迎、痛み入るのだ。バルディス殿」


 なぜか、バルディスと飼い主は、即座に臨戦態勢に入り、お互いを見つめるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さて、魔王と勇者はどうなるのでしょうか?

会った途端に臨戦態勢とは、穏やかじゃないですねぇ。

とりあえず、続きをお楽しみに!

それでは、また!
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