我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百四話 コア

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「にゃー(飼い主、遅いのだ……)」


 行き止まりの道で、無事に、コアと呼ばれるものを見つけ出した我輩は、触れようとすれば弾かれるそれを転がして、最初の分かれ道まで戻ってきていた。


《もうすぐ帰ってくると思われます》

「にゃっ!? (そうなのかっ!?)」


 しばらく待っていると、タマが唐突に告げる。そして、その直後。


 ズドンッ!


「ふにゃあっ!? (な、何事なのだっ!?)」


 巨大な地響きに、コロコロ転がっていきそうなコアをどうにかその場に留めると、我輩、キョロキョロと辺りを見渡す。


「ふむ、やり過ぎたか?」


 そして、小さいながらも、飼い主の声が聞こえてきて、先程のものが飼い主の仕業なのだと納得する。


《あり得なーい、『邪神の眼』の内部を壊すなんてー》

「だが、壊さなければ出られなかったのだ。仕方がないないであろう?」

《いやいやー、普通、壊せませんって話ですー》

「む? 普通に壊せたのだ。……問題はなかろう?」

《…………多分ー?》


 徐々に近づいてくる声に、我輩早く飼い主に褒めてほしくて焦れる。


「にゃーっ(飼い主ーっ)」

「む、タロが呼んでいる。急がねばっ」


 そして、呼んだら飼い主は急いで我輩の元へと来てくれた。


「にゃっ。にゃあっ(飼い主、見てほしいのだっ。大きなコアなのだっ)」


 拳大ほどもある、真っ黒で、瘴気を生み出している球体を見せると、飼い主は笑顔で我輩の頭を撫でてくれる。


「うむ、良くやったのだ。だが、コアは二つあったのだな」

「にゃ? (二つ?)」


 飼い主の不思議な言葉に声を上げれば、飼い主は『収納』からバスケットボール大のコアを取り出す。


「これが、私の成果だ」

「にゃあぁっ(さすがなのだっ)」


 我輩の見つけたコアよりも遥かに大きなそれに、我輩、やはり飼い主はすごいと感心する。

 ただ、隣合って置いたコアは、我輩達が呑気に話している間に、何やら黒い光を放ち始める。


「む?」
「にゃ? (むっ?)」


 ほぼ同時にそれに気づいて振り向くと、タマとシロが慌てた声を出す。


《早急な破壊をお勧めしますっ》

《早くしないとー、ヤバイかもですーっ》


 珍しく余裕のないその声に、我輩は、本当に危険なのだと気づき、飼い主とともにコアを攻撃しようとしたものの……今一歩遅かった。

 一際黒く輝いたコアは、それ同士が合体し、巨大な体を形作る。そう、それは……。


「グルルルルルルルッ」

「にゃー(ドラゴン、なのだ)」


 どことなく、見覚えのある姿をした、ドラゴンであった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さぁ、『邪神の眼』にて、最後の戦闘が行われますっ。

今回は、飼い主と共同戦線を張ることになりますので、できれば、迫力のある戦いを書きたいなぁと思っております。

それでは、また!
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