我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百二十一話 マギウスの力

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 マギウスの『操術』は、とても役立った。避難民に遠巻きにされていたマギウスを見捨てなくて良かったとさえ思えるほどに。

 しばらく建物の外観を調べた後、侵入するための方法の模索となったのだが、そこで問題が発生した。恐らくは、何か合言葉を設定して出入りしているだろうその場所に、誰にも気づかれずに侵入するのは難しかったのだ。


「侵入防止、徹底してる」

「そんなに厳しいの?」

「是」


 どうにも、ここには重要な情報が隠されているらしく、防犯対策は徹底していた。もはや、正面突破以外に道はないと思わせるほどに。


「うーん、それじゃあ、あそこから出てきた人が居たら、操ってみようか?」

「頼む」


 こうなれば、マギウスが『操術』の達人であることが頼もしい。『操術』を使用すれば、その相手からも情報を聞き出せる上、簡単に裏切らせることもできる。セイクリア教国が混乱に陥ったのも納得できるだけの能力だった。

 それから、俺達はひたすら待った。いつ、誰かが出てきても良いように、じっと気配を消したまま目を光らせた。そして……。


「来た」


 一時間もすると、三人の男達がやはりフードを被った姿で出てくる。


「無力化は任せるよ」

「承知」


 三人くらいならば、数秒で無力化させることは可能だ。『闇化』で影に潜んだ俺は、男達の背後を取るや否や、一気にそれぞれへと首刀を落とし、気絶させる。


「よしっ、『操術』っ」


 マギウスが倒れた三人の男に『操術』をかけると、彼らはおもむろに起き上がる。


「じゃあ、まずは目立たない場所で情報を聞き出そう」

「承知」


 まだ、『操術』のかかりが弱いのか、ガクガクと移動する男達を狭い小道に引き込むと、俺達は少しずつ情報を聞き出していく。


「これから何をしにいく予定だったの?」

「竜の森へ、仲間と合流しに……」

「今はまだ時間はある?」

「ある」


 先に問いかけを始めたのはマギウスだったものの、確かにその情報は重要だろう。マギウスは、これからこの三人を操ってどんどん情報を引き出そうとしているのだから、不審な行動をさせるわけにはいかない。


「裏切りを防止する魔法はかけられてる?」

「はい」

「全員?」

「はい」


 ただ、マギウスのそんな質問によって、情報収集は頓挫するのではないか、と思われた。


「なら、僕が解いてあげよう」

「できるのか?」

「うん、一応は、ね。こういう仕事も多かったし」


 まさか、マギウスが解呪に関する魔法を扱えるとは思っていなかった俺は、マギウスの評価を大きく上方修正する。そうして、マギウスは男達にかけられた自白を禁止する魔法を解呪するのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


案外マギウスが活躍?

ちょっと手慣れてる感が何ともいえない恐ろしさを醸し出している気もしますが……次回は、ようやく情報ゲットになりそうです。

それでは、また!
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