328 / 574
第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百二十七話 封印探し(二)
しおりを挟む
改めて、捜索範囲を入れ替えた我輩と飼い主は、黙々とシロとタマが示す範囲内を探した。そして……。
「にゃ……? (この出っ張りは……?)」
何やら緑の四角い出っ張りを見つけて、我輩、首をかしげる。大きさは、十センチ四方で、地面から五センチくらい飛び出ている。
《タロ様、もしかしたら、それは――――》
「にゃっ(えいっ、なのだっ)」
何となく、本当に何となく、我輩はその四角い出っ張りの上に前足を乗せて体重をかけてみる。すると……。
ミシミシミシミシッ。
「にゃっ!? (何事なのだっ!?)」
「む? 何だ?」
出っ張りの目の前にあった木が、おもむろに縦に割れていく。そんな状態に、慌ててそこから飛び退くと、割れてきていた木は、そのままそこで動きを止め、今度は元通りに修復されていく。
「……タロ、何をしたのだ?」
『怒らないから、言ってごらん』とでも言いたげな飼い主の様子に、我輩、ちょっとビクビクしながら答える。
「にゃにゃー(変な出っ張りを見つけて、押してみたのだ)」
《もしかしたら、封印に繋がる手がかりかもしれません》
タマの言葉に、飼い主は一つうなずくと、その出っ張りはどこにあるのかを尋ねてくる。
「にゃっ(こっちなのだっ)」
さして離れてもいないその出っ張りを、我が手柄として飼い主に見せる。しかし、その時になって、我輩は一つの事実に気づく。
「にゃ? (うむ?)」
「どうした?」
そこにあった出っ張りは、最初見たものと様相がことなっていた。
「にゃあ(さっきまでは緑だったのだ)」
そう、緑色の出っ張りだったはずが、それはいつの間にかオレンジ色に変色していた。
「ふむ、押してみるか」
そうして、飼い主は出っ張りを踏みつけるものの、今度は何も起こらない。
「……確かに、これを押したのだよな?」
「にゃあ(そのはずなのだ)」
飼い主が押しても何の変化もない木を見て、我輩も首をかしげる。そうして、我輩、飼い主に代わって改めて出っ張りを押してみたのだが……。
ミシミシミシミシッ。
「にゃっ!? (動いたのだっ!?)」
なぜか、我輩が押すと、木が割れ始める。そして、出っ張りは、オレンジから赤へと色を変えていき、下から上へとどんどん木の割れ目が大きくなる。
「タロ、そのままだ」
「にゃっ(分かったのだっ)」
そうして、しばらく待つと、木の割れ目が大きく開き、その奥に、どういうわけか全く別の景色が、美しい泉の景色が見えるようになるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やったね、封印場所を見つけたよっ!
という回でした。
タロはお手柄でしたね。
さぁ、怪しい泉には何があるのか、次回をお楽しみに。
それでは、また!
「にゃ……? (この出っ張りは……?)」
何やら緑の四角い出っ張りを見つけて、我輩、首をかしげる。大きさは、十センチ四方で、地面から五センチくらい飛び出ている。
《タロ様、もしかしたら、それは――――》
「にゃっ(えいっ、なのだっ)」
何となく、本当に何となく、我輩はその四角い出っ張りの上に前足を乗せて体重をかけてみる。すると……。
ミシミシミシミシッ。
「にゃっ!? (何事なのだっ!?)」
「む? 何だ?」
出っ張りの目の前にあった木が、おもむろに縦に割れていく。そんな状態に、慌ててそこから飛び退くと、割れてきていた木は、そのままそこで動きを止め、今度は元通りに修復されていく。
「……タロ、何をしたのだ?」
『怒らないから、言ってごらん』とでも言いたげな飼い主の様子に、我輩、ちょっとビクビクしながら答える。
「にゃにゃー(変な出っ張りを見つけて、押してみたのだ)」
《もしかしたら、封印に繋がる手がかりかもしれません》
タマの言葉に、飼い主は一つうなずくと、その出っ張りはどこにあるのかを尋ねてくる。
「にゃっ(こっちなのだっ)」
さして離れてもいないその出っ張りを、我が手柄として飼い主に見せる。しかし、その時になって、我輩は一つの事実に気づく。
「にゃ? (うむ?)」
「どうした?」
そこにあった出っ張りは、最初見たものと様相がことなっていた。
「にゃあ(さっきまでは緑だったのだ)」
そう、緑色の出っ張りだったはずが、それはいつの間にかオレンジ色に変色していた。
「ふむ、押してみるか」
そうして、飼い主は出っ張りを踏みつけるものの、今度は何も起こらない。
「……確かに、これを押したのだよな?」
「にゃあ(そのはずなのだ)」
飼い主が押しても何の変化もない木を見て、我輩も首をかしげる。そうして、我輩、飼い主に代わって改めて出っ張りを押してみたのだが……。
ミシミシミシミシッ。
「にゃっ!? (動いたのだっ!?)」
なぜか、我輩が押すと、木が割れ始める。そして、出っ張りは、オレンジから赤へと色を変えていき、下から上へとどんどん木の割れ目が大きくなる。
「タロ、そのままだ」
「にゃっ(分かったのだっ)」
そうして、しばらく待つと、木の割れ目が大きく開き、その奥に、どういうわけか全く別の景色が、美しい泉の景色が見えるようになるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やったね、封印場所を見つけたよっ!
という回でした。
タロはお手柄でしたね。
さぁ、怪しい泉には何があるのか、次回をお楽しみに。
それでは、また!
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる