我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百二十七話 封印探し(二)

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 改めて、捜索範囲を入れ替えた我輩と飼い主は、黙々とシロとタマが示す範囲内を探した。そして……。


「にゃ……? (この出っ張りは……?)」


 何やら緑の四角い出っ張りを見つけて、我輩、首をかしげる。大きさは、十センチ四方で、地面から五センチくらい飛び出ている。


《タロ様、もしかしたら、それは――――》

「にゃっ(えいっ、なのだっ)」


 何となく、本当に何となく、我輩はその四角い出っ張りの上に前足を乗せて体重をかけてみる。すると……。

 ミシミシミシミシッ。


「にゃっ!? (何事なのだっ!?)」

「む? 何だ?」


 出っ張りの目の前にあった木が、おもむろに縦に割れていく。そんな状態に、慌ててそこから飛び退くと、割れてきていた木は、そのままそこで動きを止め、今度は元通りに修復されていく。


「……タロ、何をしたのだ?」


 『怒らないから、言ってごらん』とでも言いたげな飼い主の様子に、我輩、ちょっとビクビクしながら答える。


「にゃにゃー(変な出っ張りを見つけて、押してみたのだ)」

《もしかしたら、封印に繋がる手がかりかもしれません》


 タマの言葉に、飼い主は一つうなずくと、その出っ張りはどこにあるのかを尋ねてくる。


「にゃっ(こっちなのだっ)」


 さして離れてもいないその出っ張りを、我が手柄として飼い主に見せる。しかし、その時になって、我輩は一つの事実に気づく。


「にゃ? (うむ?)」

「どうした?」


 そこにあった出っ張りは、最初見たものと様相がことなっていた。


「にゃあ(さっきまでは緑だったのだ)」


 そう、緑色の出っ張りだったはずが、それはいつの間にかオレンジ色に変色していた。


「ふむ、押してみるか」


 そうして、飼い主は出っ張りを踏みつけるものの、今度は何も起こらない。


「……確かに、これを押したのだよな?」

「にゃあ(そのはずなのだ)」


 飼い主が押しても何の変化もない木を見て、我輩も首をかしげる。そうして、我輩、飼い主に代わって改めて出っ張りを押してみたのだが……。

 ミシミシミシミシッ。


「にゃっ!? (動いたのだっ!?)」


 なぜか、我輩が押すと、木が割れ始める。そして、出っ張りは、オレンジから赤へと色を変えていき、下から上へとどんどん木の割れ目が大きくなる。


「タロ、そのままだ」

「にゃっ(分かったのだっ)」


 そうして、しばらく待つと、木の割れ目が大きく開き、その奥に、どういうわけか全く別の景色が、美しい泉の景色が見えるようになるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


やったね、封印場所を見つけたよっ!

という回でした。

タロはお手柄でしたね。

さぁ、怪しい泉には何があるのか、次回をお楽しみに。

それでは、また!
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