我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百三十七話 飼い主を救うために(三)

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 夜を徹して走り続けた我輩は、朝日が昇る頃、ようやく、見覚えのある場所へと辿り着く。あの、木の割れ目は、未だにそこに存在していた。


「にゃごっ! (飼い主っ!)」


 木の割れ目の向こうには、出てきた時と変わらず、飼い主が泉の中心に立っている。それは、まだ、飼い主が無事であるということの証明だ。


「タロっ、まずは作戦会議をするっ! 俺達を一度降ろしてくれっ」


 道中、話せるだけの情報を話しておいた我輩は、確かにこれから立ち向かう強敵を前に、ただ突っ込むわけにはいかないとその指示に従う。


「にゃーっ(飼い主を、早く助けたいのだっ)」


 バルディス達を降ろして、『変化』を解いた我輩は、紳士服を纏っていない白い体のまま、ソワソワしながらバルディスに頼み込む。


「あぁ、分かってる。何か、案はあるか?」

「はい。まずは、強固な結界で全員が身を守った状態での突入が望ましいと思いますわ」

「泉の結界、破るの、タロとバル、外せない」

「僕は、ここで待機の方が良さそうかな? 行っても足手まといになりそうだし……」

「にゃあ? (結界は、『多重結界』か?)」

「それが良いだろうな。結界は、『多重結界』を俺とタロが張ろう」

「『多重結界』、タロも使える?」

「にゃっ(もちろんなのだっ)」

「使えるそうだ」


 そうやって話していくと、どんどん作戦が決まっていく。

 我輩とバルディスは、とにかく『多重結界』で全員を守ることと、泉の結界を破ることに集中。ラーミアとディアムは、襲い掛かってくる木々をどうにか退けることに注力。マギウスは、外に待機して、もし飼い主を助け出すことができたなら、飼い主を受け止める役目だ。


「よし、なら行くぞっ」


 その掛け声とともに、我輩、『多重結界』を自分とラーミアに張って、一気に木の割れ目へと突入する。バルディスは、ディアムと自分に『多重結界』を張って、我輩と同じように突入していた。そして、その瞬間、木々達が襲い掛かってくる。


「『影粘えいねん』」

「『濁流撃』」


 木々の攻撃が届く前に、ディアムとラーミアがそれぞれに魔法を発動させ、その魔法のおかげで木々は影に捕らわれて動きが鈍り、発生した濁流に呑まれ始める。


「にゃあっ。にゃおーんっ! (我輩も行くのだっ。猫流奥義、ガリガリプラス連舞っ!)」

「『火焔竜』」


 我輩、死にもの狂いで前足二つで泉の結界へと攻撃を加えていく。バルディスは、炎でできた竜を生成し、突入をかけている。これなら、きっと、結界を破れる。そう思った直後、ピキッという小さな音が、我輩の耳に届いた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


全員で協力しての救出作戦。

果たして、飼い主は無事に帰ってくるのかっ!

それでは、また!
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