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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百五十五話 奴隷市(一)
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まだ日が落ちきっていない午後。
行き交う人はどこかの店で夕飯を食べに行ったり、早くも仲間達と飲んだくれていたりする。屋台広場と言える場所は賑わい、美味しそうな匂いが様々な場所から漂ってくる。
獣人や人間達が行き交う平和な表通り。その喧騒の裏に、貴族達が暮らす貴族街では、一つの屋敷に、次々と豪華な装飾を施された馬車が到着し、仮面を被った怪しげな男女が屋敷の中へと吸い込まれていく。
「ここか……」
そしてまた一つ、豪華絢爛な馬車が到着し、三人の男女が降りてくる。長身な三人の中で一際目立つのは、赤いドレスを身に纏った女。素晴らしい我が儘ボディの持ち主である女は、二人の男に手を取られ、悠々と歩を進める。
男女は、迷うことなく屋敷の中へと入り、近づいてきた執事を見つけると、足を止めた。
「合言葉は?」
「『影は影に呑まれる』」
間髪入れずに即答した男に、執事は恭しくお辞儀を返す。
「では、こちらへ、ご案内致します」
カツカツと足音を響かせて、執事は脇目もふらず、悪趣味な彫像が立ち並ぶ廊下を進む。静かに、静かに進んでいくと、薄暗い階段の入り口へと突き当たる。
「暗くなっておりますので、足元にお気をつけください」
そんな言葉を受けて、男二人は、女を丁寧にエスコートして階段を降りていく。
しん、と静まり返ったその場所では、ただ、靴のカツカツとした音だけが木霊する。
「こちらになります。どうぞ、良い夜をお過ごしください」
「ご苦労」
さりげなく執事にチップを握らせた男は、執事がお辞儀をして去る中、大きな扉を見据える。
「準備は良いか?」
「もちろん」
「えぇ」
その言葉を聞いた直後、男は扉を開き始め……流れ込んできたキツい香水の匂いと音の本流に、一瞬手を止めて、それでも大きく扉を開け放つ。
扉が開いたことで、男女は数人の仮面を被った者達からの視線を受けたものの、特に興味はないのか、すぐにそれは逸らされる。いや、一部、女の素晴らしい体つきにいやらしい目付きをする者も居たが、それは案外少数だった。ここに居る者は皆、これから始まることへの期待に満ちているのだ。
淡い光が照らす会場で、女をエスコートしたまま進む男は、様々な話し声が聞こえる中を慎重に進み、決められた席へと着く。いつの間にか、女をエスコートしていたはずの男の一人の姿は消えていたが、それを気にする者は誰も居なかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さぁっ、奴隷市が開催されますっ。
欠片の持ち主は、無事、救出できるのでしょうか?
それでは、また!
行き交う人はどこかの店で夕飯を食べに行ったり、早くも仲間達と飲んだくれていたりする。屋台広場と言える場所は賑わい、美味しそうな匂いが様々な場所から漂ってくる。
獣人や人間達が行き交う平和な表通り。その喧騒の裏に、貴族達が暮らす貴族街では、一つの屋敷に、次々と豪華な装飾を施された馬車が到着し、仮面を被った怪しげな男女が屋敷の中へと吸い込まれていく。
「ここか……」
そしてまた一つ、豪華絢爛な馬車が到着し、三人の男女が降りてくる。長身な三人の中で一際目立つのは、赤いドレスを身に纏った女。素晴らしい我が儘ボディの持ち主である女は、二人の男に手を取られ、悠々と歩を進める。
男女は、迷うことなく屋敷の中へと入り、近づいてきた執事を見つけると、足を止めた。
「合言葉は?」
「『影は影に呑まれる』」
間髪入れずに即答した男に、執事は恭しくお辞儀を返す。
「では、こちらへ、ご案内致します」
カツカツと足音を響かせて、執事は脇目もふらず、悪趣味な彫像が立ち並ぶ廊下を進む。静かに、静かに進んでいくと、薄暗い階段の入り口へと突き当たる。
「暗くなっておりますので、足元にお気をつけください」
そんな言葉を受けて、男二人は、女を丁寧にエスコートして階段を降りていく。
しん、と静まり返ったその場所では、ただ、靴のカツカツとした音だけが木霊する。
「こちらになります。どうぞ、良い夜をお過ごしください」
「ご苦労」
さりげなく執事にチップを握らせた男は、執事がお辞儀をして去る中、大きな扉を見据える。
「準備は良いか?」
「もちろん」
「えぇ」
その言葉を聞いた直後、男は扉を開き始め……流れ込んできたキツい香水の匂いと音の本流に、一瞬手を止めて、それでも大きく扉を開け放つ。
扉が開いたことで、男女は数人の仮面を被った者達からの視線を受けたものの、特に興味はないのか、すぐにそれは逸らされる。いや、一部、女の素晴らしい体つきにいやらしい目付きをする者も居たが、それは案外少数だった。ここに居る者は皆、これから始まることへの期待に満ちているのだ。
淡い光が照らす会場で、女をエスコートしたまま進む男は、様々な話し声が聞こえる中を慎重に進み、決められた席へと着く。いつの間にか、女をエスコートしていたはずの男の一人の姿は消えていたが、それを気にする者は誰も居なかった。
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さぁっ、奴隷市が開催されますっ。
欠片の持ち主は、無事、救出できるのでしょうか?
それでは、また!
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