我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百五十七話 調達調達ー

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 それは、三日前に遡る。
 タロが服をボロボロにしてしまって内心落ち込んでいる様子を見た私は、王との謁見をすませた後、すぐにタロの服の材料調達に繰り出した。狙うのは、デビルスパイダーの糸と、ジュエリーゴーレムの核と宝石だ。それぞれの生息地は、カレッタ小王国北東にある小さな森と、北西にあるダンジョンだったため、まずは森の方へと向かってみる。楽しみは、後で取っておく方なのだ。


「ふむ、囲まれたな」


 全力疾走を続けて八時間。森に辿り着いた私は、早速魔物に囲まれていた。しかも、目的とは違う、レッドモンキーという魔物だ。その名の通り、赤い毛を持つ猿達は、キーキーと喧しく騒ぎ立てる。


「確か、レッドモンキーの皮は火属性の耐性がある、か……正直、いらないのだ」


 どれだけの耐性があるのかは知らないが、そんな一つの属性のみの耐性を持っていても面白くない。


「これが、ホワイトモンキーだというのなら、ポケットチーフにでも……いや、やはりここはスパイダー系が吉かもしれないのだ」


 そうして、一斉に襲いかかってきたレッドモンキーを、私は炎の剣を生成してそれで焼き尽くす。


「ふむ、たいした耐性もなかった、か」


 一瞬にして黒焦げになった仲間を見て、かろうじて攻撃範囲の外に居たレッドモンキー達は散り散りに去っていく。


「さて、デビルスパイダーは……居たのだ」


 それらしい反応を魔力で探ってみると、近くにその気配を見つける。


「デビルスパイダーの糸は、丈夫で、黒く、光沢があり、全ての属性に耐性を持つと聞く。タロの燕尾服にピッタリなのだ」


 もちろん、私はそこからすぐにデビルスパイダーを探し出すと、一メートルほどある赤い斑模様を持ったそいつの腹を裂いて、その糸を手に入れる。


「これだけあれば十分なのだ」


 合計、三匹のデビルスパイダーから糸を取った私は、十分過ぎるその量にホクホクだ。
 次はダンジョンとばかりに、四時間走り続け、三時間の探索の末に見つけたジュエリーゴーレムを屠る。これで、タロの燕尾服の性能は格段に上がるし、豪華にもなるはずだ。
 ジュエリーゴーレムを倒すまでに倒してきたウッドゴーレムは、豪華な馬車にでも加工することにしよう。

 それから、カレッタ小王国へ九時間かけて戻り、三時間を費やしてタロの燕尾服と馬車の作成に取りかかる。


「っ、できたのだ!」


 タロの燕尾服、及び、気まぐれに作った馬車が完成した私は、そのままそれらを『収納』し、ぐっすりと眠りに就く。

 長く眠っていた私は、目が覚めて、すぐにタロのところに行く。すると、そこでは奴隷市のことについて話し合いをしていたり、私がタロに代わって奴隷市へ潜入することになったりした。ついでに、ラーミアが行けなくなって寂しそうだったディアムへ、面白半分でラーミア並みのボディを『幻術』で与えてみたりしたが、何よりも良かったことは、タロが燕尾服に並々ならぬ喜びを見せたことだろう。


「にゃーっ、にゃーっ、にゃあぁっ! (飼い主ーっ、飼い主ーっ、ありがとうなのだぁっ!)」


 性能については、また今度説明するとして、今は、頭をスリスリしてくる可愛いタロを存分に愛でることにするのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ちょっと奴隷市を離れて、飼い主の回でした。

飼い主が作った馬車は、早速奴隷市へ向かうために使われていたりします。

タロの燕尾服の細かい描写は、次にタロが出てきた時にでも。

次回は、また奴隷市の続きになります。

それでは、また!
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