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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百六十話 奴隷市(五)
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「やっと、やっと……辿り着いた」
あれから、ケントは何度か『大蛇の戯れ』を発動させ、会場中を阿鼻叫喚の地獄へと変えた。俺もディアムも、死にもの狂いに大蛇を避けて、時には参加者を盾にしてしのぎ、どうにか壇上まで上がってこれた。
「む? バルディスにディアム、なぜそんなに死にそうな表情なのだ?」
「「あんたのせいだ!」」
とても不思議そうにそう言うケントに、俺とディアムは同時に突っ込みを入れる。
「ふむ、このくらいならば、タロはすぐに私の元へと辿り着いてくれるのだが……何か間違っていたであろうか?」
あの猫にして、この飼い主ありだなと思える発言に、俺達は同時に脱力する。もう、反論する気力もない。
「むっ、悲鳴が聞こえなくなってきたな。そろそろ回収するべきか?」
「待て、ケント。ここの人間達を回収するのか?」
「うむ、せっかくなのでな。もしかしたら、王の元に引きずり出してやると良さそうなのも居るかもしれないのでな」
そう言いながら、ケントは見たことのない魔法を発動する。
「『黒柩』」
そう言った直後、いつの間にか大蛇が消えた会場で、横たわり、意識を失った大勢の参加者が、一人ずつ、真っ黒な柩の中に収まっては消えていく。
「いったい、どこに……」
呆然と呟く女装姿のディアム。俺としても、あの柩がどこに行ったのかはとても気になった。
「この魔法は、生き物用の『収納』魔法のようなものなのだ。ただ、中に居る者達には延々と悪夢を見せ続ける仕様ではあるがな」
どうやら、あの魔法は拷問用の魔法らしい。いったいいつ、そんな魔法を習得したのか、気になるところではあったものの、深く聞いたらこちらにダメージが来そうだったため、黙秘を貫く。
「むっ、そういえば、この護衛達も居たな。『黒柩』」
会場の騒ぎを聞いて目が覚めていたらしい護衛達。檻に閉じ込められて、あまりに容赦のないケントの様子に震えていた彼らは、ケントの無慈悲な魔法で悲鳴を上げて柩から逃れようとするものの、その柩の中から黒い触手のようなものが伸びてきて、護衛達はあえなく捕まる。
悲痛な表情を浮かべ、必死に助けを求める彼らの姿を見送った俺達の心持ちは、何とも言いがたいものだった。
「さて、掃除は完璧なのだ。私達も、そろそろ竜の森のアジトへ戻ることとしよう」
満足そうに笑みを浮かべるケントを見て、俺は改めて、ケントが魔王を討伐しに来た勇者でなくて良かったと、心から思うのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
飼い主の暴走が酷い件について。
いやぁ、暴走させるのがとっても楽しいキャラクターですので、ついつい過剰になっている気がします。
……タロは、この飼い主の元で育って、今まで良く無事だったなということにもなりますが、多分、タロも普通じゃないんでしょうね。
ペットは飼い主に似ると言いますし……。
次回は、アジトでのお話になるかと思います。
それでは、また!
あれから、ケントは何度か『大蛇の戯れ』を発動させ、会場中を阿鼻叫喚の地獄へと変えた。俺もディアムも、死にもの狂いに大蛇を避けて、時には参加者を盾にしてしのぎ、どうにか壇上まで上がってこれた。
「む? バルディスにディアム、なぜそんなに死にそうな表情なのだ?」
「「あんたのせいだ!」」
とても不思議そうにそう言うケントに、俺とディアムは同時に突っ込みを入れる。
「ふむ、このくらいならば、タロはすぐに私の元へと辿り着いてくれるのだが……何か間違っていたであろうか?」
あの猫にして、この飼い主ありだなと思える発言に、俺達は同時に脱力する。もう、反論する気力もない。
「むっ、悲鳴が聞こえなくなってきたな。そろそろ回収するべきか?」
「待て、ケント。ここの人間達を回収するのか?」
「うむ、せっかくなのでな。もしかしたら、王の元に引きずり出してやると良さそうなのも居るかもしれないのでな」
そう言いながら、ケントは見たことのない魔法を発動する。
「『黒柩』」
そう言った直後、いつの間にか大蛇が消えた会場で、横たわり、意識を失った大勢の参加者が、一人ずつ、真っ黒な柩の中に収まっては消えていく。
「いったい、どこに……」
呆然と呟く女装姿のディアム。俺としても、あの柩がどこに行ったのかはとても気になった。
「この魔法は、生き物用の『収納』魔法のようなものなのだ。ただ、中に居る者達には延々と悪夢を見せ続ける仕様ではあるがな」
どうやら、あの魔法は拷問用の魔法らしい。いったいいつ、そんな魔法を習得したのか、気になるところではあったものの、深く聞いたらこちらにダメージが来そうだったため、黙秘を貫く。
「むっ、そういえば、この護衛達も居たな。『黒柩』」
会場の騒ぎを聞いて目が覚めていたらしい護衛達。檻に閉じ込められて、あまりに容赦のないケントの様子に震えていた彼らは、ケントの無慈悲な魔法で悲鳴を上げて柩から逃れようとするものの、その柩の中から黒い触手のようなものが伸びてきて、護衛達はあえなく捕まる。
悲痛な表情を浮かべ、必死に助けを求める彼らの姿を見送った俺達の心持ちは、何とも言いがたいものだった。
「さて、掃除は完璧なのだ。私達も、そろそろ竜の森のアジトへ戻ることとしよう」
満足そうに笑みを浮かべるケントを見て、俺は改めて、ケントが魔王を討伐しに来た勇者でなくて良かったと、心から思うのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
飼い主の暴走が酷い件について。
いやぁ、暴走させるのがとっても楽しいキャラクターですので、ついつい過剰になっている気がします。
……タロは、この飼い主の元で育って、今まで良く無事だったなということにもなりますが、多分、タロも普通じゃないんでしょうね。
ペットは飼い主に似ると言いますし……。
次回は、アジトでのお話になるかと思います。
それでは、また!
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