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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百六十五話 フルルの記憶(二)
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「ルト兄さんっ、ミア兄さんっ、今日はとっても賑やかだねっ」
「おうっ、確か、勇者が召喚されたってことで、お祭り騒ぎになってるんだとよ」
「人々が活気づいてるのは良いことだよね」
僕のはしゃいだ言葉に、ザルト兄様とミアト兄様がそれぞれに答える。現在、僕達はお忍びで街に出てきているため、いつものように『ザルト兄様』とか『ミアト兄様』とは呼べないものの、『ルト兄さん』、『ミア兄さん』呼びも新鮮で楽しい。
第三王子のザルト兄様は、兄弟の中では一番背が高く、父様譲りの狼の獣人で、青い瞳に焦げ茶色の髪をしている。剣を振るうのが性に合っていたらしく、その腕は騎士団長に次ぐ実力らしい。
面倒見が良いザルト兄様は、良く僕や他の兄弟姉妹達に街で見つけたお菓子を買ってきてくれる。今日は、また街に繰り出そうとしていたザルト兄様に、一緒に行きたいとねだった結果、ここに居る。
「あっ、ルル、あれっ、ルルが気に入っていたお菓子が売ってあるお店だと思うよ。確か、マカロンだったっけ?」
僕の名前の『フルル』を省略して、『ルル』と呼ぶミアト兄様に、僕は歓声を上げる。
「ほんと! ミア兄さん!?」
僕と四つ年が離れたミアト兄様は、一番、僕と一緒に居てくれることが多い。何でも、たった一人の弟という存在が可愛くて仕方ないらしい。
ミアト兄様は、側室である母親譲りの猫獣人で、僕よりは身長は高いものの、十二歳の同年代と比べると小柄らしい。黄色の瞳と、赤褐色の髪をしていて、どこか人懐っこい雰囲気をしている。そして、何よりも、兄弟姉妹の中では、一番、僕に甘い。僕が好きなものは全て押さえていて、隙があればすぐにそれらを勧めてくる。王子としての教育を受け、他の兄様達に教えられて、甘えるばかりはいけないと分かってはいるのだが、どうにもミアト兄様を前にしたら甘えてしまう。
「マカロンか……俺は、甘いのはどうにも苦手何だよな……ミアとルルの二人で買いに行くか?」
「うん、そうだね。そうするよ」
「えっ? 買ってくれるの!? どのくらい買っても良いのっ?」
「そうだね……いくらでも……と言いたいところだけど、一ケースだけにしておこうか」
「わーいっ、ありがとう! ミア兄さん!」
『いくらでも』と言いかけた時に、ザルト兄様が困った表情でミアト兄様を見つめていて、それに気づいたミアト兄様が言い直したりもしたが、一ケースも買ってもらえるなら、それで十分だ。
「俺は、店の外で待っているから、二人で買うと良い」
「うんっ、ありがとうっ、ルト兄さん!」
ただ、この時の僕は、何がなんでも、ザルト兄様と一緒に居るべきだった。そうすれば、あんなことは起こらなかったはずなのだから……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
な、何とか、更新、間に合いましたっ!
明日は普通に更新できますよ。
次回は、今回の話の本題が出てくる、予定です。
それでは、また!
「おうっ、確か、勇者が召喚されたってことで、お祭り騒ぎになってるんだとよ」
「人々が活気づいてるのは良いことだよね」
僕のはしゃいだ言葉に、ザルト兄様とミアト兄様がそれぞれに答える。現在、僕達はお忍びで街に出てきているため、いつものように『ザルト兄様』とか『ミアト兄様』とは呼べないものの、『ルト兄さん』、『ミア兄さん』呼びも新鮮で楽しい。
第三王子のザルト兄様は、兄弟の中では一番背が高く、父様譲りの狼の獣人で、青い瞳に焦げ茶色の髪をしている。剣を振るうのが性に合っていたらしく、その腕は騎士団長に次ぐ実力らしい。
面倒見が良いザルト兄様は、良く僕や他の兄弟姉妹達に街で見つけたお菓子を買ってきてくれる。今日は、また街に繰り出そうとしていたザルト兄様に、一緒に行きたいとねだった結果、ここに居る。
「あっ、ルル、あれっ、ルルが気に入っていたお菓子が売ってあるお店だと思うよ。確か、マカロンだったっけ?」
僕の名前の『フルル』を省略して、『ルル』と呼ぶミアト兄様に、僕は歓声を上げる。
「ほんと! ミア兄さん!?」
僕と四つ年が離れたミアト兄様は、一番、僕と一緒に居てくれることが多い。何でも、たった一人の弟という存在が可愛くて仕方ないらしい。
ミアト兄様は、側室である母親譲りの猫獣人で、僕よりは身長は高いものの、十二歳の同年代と比べると小柄らしい。黄色の瞳と、赤褐色の髪をしていて、どこか人懐っこい雰囲気をしている。そして、何よりも、兄弟姉妹の中では、一番、僕に甘い。僕が好きなものは全て押さえていて、隙があればすぐにそれらを勧めてくる。王子としての教育を受け、他の兄様達に教えられて、甘えるばかりはいけないと分かってはいるのだが、どうにもミアト兄様を前にしたら甘えてしまう。
「マカロンか……俺は、甘いのはどうにも苦手何だよな……ミアとルルの二人で買いに行くか?」
「うん、そうだね。そうするよ」
「えっ? 買ってくれるの!? どのくらい買っても良いのっ?」
「そうだね……いくらでも……と言いたいところだけど、一ケースだけにしておこうか」
「わーいっ、ありがとう! ミア兄さん!」
『いくらでも』と言いかけた時に、ザルト兄様が困った表情でミアト兄様を見つめていて、それに気づいたミアト兄様が言い直したりもしたが、一ケースも買ってもらえるなら、それで十分だ。
「俺は、店の外で待っているから、二人で買うと良い」
「うんっ、ありがとうっ、ルト兄さん!」
ただ、この時の僕は、何がなんでも、ザルト兄様と一緒に居るべきだった。そうすれば、あんなことは起こらなかったはずなのだから……。
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な、何とか、更新、間に合いましたっ!
明日は普通に更新できますよ。
次回は、今回の話の本題が出てくる、予定です。
それでは、また!
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