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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百六十九話 突然の訪問者は?
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「……どうぞ」
誰が来たのかは分からなかったものの、バルディスはひとまず立ち上がって入室の許可を告げる。
「失礼する。ここに、勇者殿のお仲間が居ると聞いて来たのだが、あなた方だろうか?」
そこに居たのは、長身な狼の獣人。青い瞳と焦げ茶色の髪を持つ、屈強そうな男だった。
「っ!?」
その人物を見た瞬間、フルルは大きく目を見開く。しかし、そんなフルルをさらりと見ただけの男の姿に、フルルは次の瞬間、強いショックを受けたような表情になる。
うむ……もしかすると、この男はフルルに近しい人物なのかもしれないのだ。
誰かはまだ分からないものの、何となく、そう思った。
「あなたは?」
「これは、失礼をした。俺は、カレッタ小王国第三王子、ザルト・ル・カレッタだ」
どうやら、彼はフルルの兄だったらしい。フルルは、自己紹介するザルトの姿をじっと見つめ、何か言いたいのを必死に我慢しているように見えた。
「そうですか。俺は、バルディス。こちらは、ケントの飼い猫であるタロと、俺達が保護した子供のフルルです」
「そうか。それで、具体的に、勇者殿とはいったいどんな関係なのだ?」
フルルに全く興味を示すことなく、バルディスに話を振るザルト。
「そう、ですね。とりあえずは、協力関係としか……ケントに情報を提供しつつ、ともに戦う関係ですかね」
「おぉっ、そうなのかっ! それは、ぜひとも詳しい話を聞きたいっ! これから時間があるのであれば、ともに食事などはどうだろうか?」
「ありがたい申し出ではありますが、俺の一存では決められません。ケントが戻ってから話し合っても良いでしょうか?」
「無論、構わないっ。そこの猫と子供も一緒に来ると良い。城の食事は絶品だぞ?」
「お心遣い、ありがとうございます」
そう言って一礼するバルディスに、我輩、どうしても心配になって声を上げる。
「にゃー? (フルルも連れていって大丈夫なのか?)」
《今は、耐えてもらうしかないだろう》
返ってきた返答は、納得のいくものではなかったものの、バルディスの言うことに間違いがあるわけではない。今にも泣きそうなフルルの様子を気にしつつも、我輩はこのプリティなボディをスリスリしてあげることしかできない。
「勇者殿は、中々活躍を話してはくださらないからな。もし、食事を一緒に取れるようであれば、楽しみにしているぞ」
「はい。承知致しました」
そう言って帰っていったザルトを見送り、しばらくすると、フルルは限界だったのか、大粒の涙をポタポタと落とし始めるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
自分が忘れられているという事実をまざまざと突きつけられて、フルルは傷心中です。
さぁ、タロはこの事態を解決することはできるのかっ!?
次回、飼い主も戻ってくる予定です。
それでは、また!
誰が来たのかは分からなかったものの、バルディスはひとまず立ち上がって入室の許可を告げる。
「失礼する。ここに、勇者殿のお仲間が居ると聞いて来たのだが、あなた方だろうか?」
そこに居たのは、長身な狼の獣人。青い瞳と焦げ茶色の髪を持つ、屈強そうな男だった。
「っ!?」
その人物を見た瞬間、フルルは大きく目を見開く。しかし、そんなフルルをさらりと見ただけの男の姿に、フルルは次の瞬間、強いショックを受けたような表情になる。
うむ……もしかすると、この男はフルルに近しい人物なのかもしれないのだ。
誰かはまだ分からないものの、何となく、そう思った。
「あなたは?」
「これは、失礼をした。俺は、カレッタ小王国第三王子、ザルト・ル・カレッタだ」
どうやら、彼はフルルの兄だったらしい。フルルは、自己紹介するザルトの姿をじっと見つめ、何か言いたいのを必死に我慢しているように見えた。
「そうですか。俺は、バルディス。こちらは、ケントの飼い猫であるタロと、俺達が保護した子供のフルルです」
「そうか。それで、具体的に、勇者殿とはいったいどんな関係なのだ?」
フルルに全く興味を示すことなく、バルディスに話を振るザルト。
「そう、ですね。とりあえずは、協力関係としか……ケントに情報を提供しつつ、ともに戦う関係ですかね」
「おぉっ、そうなのかっ! それは、ぜひとも詳しい話を聞きたいっ! これから時間があるのであれば、ともに食事などはどうだろうか?」
「ありがたい申し出ではありますが、俺の一存では決められません。ケントが戻ってから話し合っても良いでしょうか?」
「無論、構わないっ。そこの猫と子供も一緒に来ると良い。城の食事は絶品だぞ?」
「お心遣い、ありがとうございます」
そう言って一礼するバルディスに、我輩、どうしても心配になって声を上げる。
「にゃー? (フルルも連れていって大丈夫なのか?)」
《今は、耐えてもらうしかないだろう》
返ってきた返答は、納得のいくものではなかったものの、バルディスの言うことに間違いがあるわけではない。今にも泣きそうなフルルの様子を気にしつつも、我輩はこのプリティなボディをスリスリしてあげることしかできない。
「勇者殿は、中々活躍を話してはくださらないからな。もし、食事を一緒に取れるようであれば、楽しみにしているぞ」
「はい。承知致しました」
そう言って帰っていったザルトを見送り、しばらくすると、フルルは限界だったのか、大粒の涙をポタポタと落とし始めるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
自分が忘れられているという事実をまざまざと突きつけられて、フルルは傷心中です。
さぁ、タロはこの事態を解決することはできるのかっ!?
次回、飼い主も戻ってくる予定です。
それでは、また!
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