我輩は紳士である（猫なのに、異世界召喚されたのだが）

第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百七十四話 騒動の原因

　外が騒がしかったのは一時的で、しばらくすると何事もなかったかのように静かな空間へと戻る。何の報告もないということは、特に重要な案件ではないのだろうが、それでも王族達の注意を引くには十分だったらしい。


「勇者殿、ぜひとも冒険譚をお聞かせ「ザルトお兄様。それはまた今度になさいませ」しかしだな」


　第三王子、ザルトに良く似た青い瞳と焦げ茶色のロングヘアの女性、第二王女、リリアスによってザルトは話を止められてしまう。


「うむぅ、しかし、何も報告がないということは、緊急性などないということ。今は勇者殿との歓談が優先ではないか？　リリアス？」

「ですが、ここまで聞こえる騒ぎなど異常事態ですわ。ここは、早急に何が起こったのかを確認すべきでしょう」

「父上、私もリリアスと同意見です」


　ルーデルの言葉に、リリアスと第一王子のバルトが反論し、ルーデルは仕方なしに側に控えていた執事へと事態の把握と報告を任せる。


「さぁ、仕切り直して、食事をするとしよう」


　一時はどうなることかと思ったものの、どうやらもう少し、解析に時間を取れそうだと、我輩、張り切る。しかし、その後の食事は黙々としたもので、途中飼い主が話を振って盛り上がることもあったものの、予想以上に早くお開きになってしまった。


　まだ、一人しか解析できていないのだっ。


　我輩が解析できたのは、王妃、フィリアルのみ。続いてバルトの解析も行おうとしていたものの、先に食事会が終わってしまったのだ。


「失礼します。騒動の原因が判明致しました」


　と、そんな中、先程の執事がルーデルの元へとやってくる。


「うむ、どうであった？」

「報告致します。先程、第五王子殿下が何者かに襲撃を受けたとのことでした」

「何だと！？」


　大声を上げて立ち上がるルーデル。それに対して、他の王族達も顔色が悪い。もちろん、フルルの顔色も、だ。


「襲撃とは、穏やかではないのだ。賊はもう捕らえたのか？」

「いえ、現在、捜索中とのことです」


　飼い主の言葉にルーデルから許可をもらって、執事が答える。


「そのため、今しばらくはこちらで待機していただきたいとのことでした。近衛騎士は全て配備を完了しております」

「ミアトはっ、ミアトは、無事なのですかっ！」

「はい。怪我もなく、そろそろこちらへお越しになるとのことです」


　フィリアルの言葉に、執事が答えた直後、この会場の出入口となる大扉の外で声が上がる。


「第五王子殿下のお越しです！」


　そうして、扉からは、黄色い瞳と赤褐色の髪を持つ、猫の獣人の少年が、青ざめた表情で入ってきたのだった。


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案外早く再会となりそうなフルルとミアト。

…もちろん、波乱は用意してますけどねっ。

それでは、また！