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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百七十九話 フルルという存在
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何が何だか分からないうちに、退出するよう促された私達は、ひとまず談話室に固まって大人しくする。
「ねぇ、ザルト兄様? あのフルルという少年のことはご存知ですの?」
沈黙が漂う中、最初に声を上げたのは、第三王女、ミリアーナだ。
「いや、知らんな。少なくとも俺は会ったことがない」
「では、バルト兄様とロデック兄様、キルトはいかが?」
私と第二王子ロデック、第四王子キルトに向けられた問いに、私も少し思い返して、心当たりはないと答える。
「俺も、知らない子……」
「僕も」
ロデックもキルトもフルフルと首を横に振って答えたため、普段、ミアトと接する機会が多い者は軒並み知らない相手ということになる。
「ミアトのお友達、でしょうか?」
「ですが、ミアトが外に出る機会など、そこまで多いわけではありませんわ」
「隠れて外に出ている、とか?」
「そんな、リリアス姉様じゃないのですし……」
フィリアル、第一王女シェリア、第二王女リリアスの順に発言をし、最後にミリアーナが頭が痛いとでも言うかのように発言する。
「何にせよ、素性を調べる必要がありそうだ。父上の許可が取れ次第、私は動くこととしよう」
大切な弟王子が、どこの誰とも知れない相手と仲良くなることは、あまり褒められたことではない。我々王族は、側仕えさえ素性を調べ、厳選しているのだ。友人も選ばなければならないのは当然のことだった。
「後は、勇者殿と一緒に居た男も気になりますわね」
「あぁ、そちらも、すぐに調査しよう。勇者殿には、長くこの国を守ってもらわねばならないからな」
最近は、ミルテナ帝国がやたらとキナ臭い。竜の森があるとはいえ、近隣の国であるあの場所で、戦を仕掛けられたら堪ったものではない。水源の復活はもちろんのことではあったが、それが叶った今、勇者殿に求められるのは他国を牽制できるだけの力だ。だから、勇者殿の周りは綺麗でなくてはならない。
「失礼します。宰相様がお越しです」
「ルバートが? 分かった。入れ」
入室を促せば、我が国で最も優秀な宰相、ルバート・ニーロが肩をいからせて入ってくる。
「王妃様、並びに王太子殿下、王子様、王女様方、本日はご機嫌麗しく」
「前置きは良い。何用だ?」
まずは母のフィリアルに、そして、私、他の王子と王女達に挨拶したのは、やたらと体格の良い、いかつい顔の人間の男だ。
ニーロ家は代々宰相の家系で、少し前まではルバート自身にも妻や子供が居たのだが、夜中の不審火によって、ルバート以外の全員が焼死してしまっている。現在は、事実上、ルバートがニーロ家最後の生き残りであるため、今は見合いのための釣書が連日届いているのだとぼやいていた。
そんな彼が、主に自分自身に関することから発生した忙しさを放り出してまでここに来たのは、何か理由があるに違いない。
「フルル様のことについて、ご報告がございます」
そして、その報告を聞いた直後、私は青ざめ、すぐにでも父上やミアトの元へ駆けつけようと走るのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やたらと眠い中、一生懸命書いております。
今回は、王太子、バルト視点でした。
それでは、また!
「ねぇ、ザルト兄様? あのフルルという少年のことはご存知ですの?」
沈黙が漂う中、最初に声を上げたのは、第三王女、ミリアーナだ。
「いや、知らんな。少なくとも俺は会ったことがない」
「では、バルト兄様とロデック兄様、キルトはいかが?」
私と第二王子ロデック、第四王子キルトに向けられた問いに、私も少し思い返して、心当たりはないと答える。
「俺も、知らない子……」
「僕も」
ロデックもキルトもフルフルと首を横に振って答えたため、普段、ミアトと接する機会が多い者は軒並み知らない相手ということになる。
「ミアトのお友達、でしょうか?」
「ですが、ミアトが外に出る機会など、そこまで多いわけではありませんわ」
「隠れて外に出ている、とか?」
「そんな、リリアス姉様じゃないのですし……」
フィリアル、第一王女シェリア、第二王女リリアスの順に発言をし、最後にミリアーナが頭が痛いとでも言うかのように発言する。
「何にせよ、素性を調べる必要がありそうだ。父上の許可が取れ次第、私は動くこととしよう」
大切な弟王子が、どこの誰とも知れない相手と仲良くなることは、あまり褒められたことではない。我々王族は、側仕えさえ素性を調べ、厳選しているのだ。友人も選ばなければならないのは当然のことだった。
「後は、勇者殿と一緒に居た男も気になりますわね」
「あぁ、そちらも、すぐに調査しよう。勇者殿には、長くこの国を守ってもらわねばならないからな」
最近は、ミルテナ帝国がやたらとキナ臭い。竜の森があるとはいえ、近隣の国であるあの場所で、戦を仕掛けられたら堪ったものではない。水源の復活はもちろんのことではあったが、それが叶った今、勇者殿に求められるのは他国を牽制できるだけの力だ。だから、勇者殿の周りは綺麗でなくてはならない。
「失礼します。宰相様がお越しです」
「ルバートが? 分かった。入れ」
入室を促せば、我が国で最も優秀な宰相、ルバート・ニーロが肩をいからせて入ってくる。
「王妃様、並びに王太子殿下、王子様、王女様方、本日はご機嫌麗しく」
「前置きは良い。何用だ?」
まずは母のフィリアルに、そして、私、他の王子と王女達に挨拶したのは、やたらと体格の良い、いかつい顔の人間の男だ。
ニーロ家は代々宰相の家系で、少し前まではルバート自身にも妻や子供が居たのだが、夜中の不審火によって、ルバート以外の全員が焼死してしまっている。現在は、事実上、ルバートがニーロ家最後の生き残りであるため、今は見合いのための釣書が連日届いているのだとぼやいていた。
そんな彼が、主に自分自身に関することから発生した忙しさを放り出してまでここに来たのは、何か理由があるに違いない。
「フルル様のことについて、ご報告がございます」
そして、その報告を聞いた直後、私は青ざめ、すぐにでも父上やミアトの元へ駆けつけようと走るのだった。
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やたらと眠い中、一生懸命書いております。
今回は、王太子、バルト視点でした。
それでは、また!
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