我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百八十二話 モフモフ防御

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「にゃごっ! (いきなり何をするのだっ!)」

「っ、退け!」

「ザルト兄上!? 止めてくださいっ!」


 ザルトはもう一度拳を振り上げ、それにミアトが制止の声を上げる。しかし……。


「うわっ、バルト兄上っ?」


 厳しい表情のバルトがミアトを引っ張り、ザルトやフルルから引き離す。その瞬間、二撃目の拳が振り下ろされたが、我輩、痛くも痒くもないのだ。モフンッとそれを弾いた我輩は、少しだけ勢いをつけて、ザルトを押し返してみる。


「止めよ! ザルトっ!」

「なりません父上っ!」


 事態に気づいたルーデルが慌てて我輩達の方へ駆け寄ろうとするものの、その瞬間、扉から雪崩れ込んで来た騎士達がルーデルの行く手を阻む。


「邪魔をするでないっ!」


 本来、騎士達はルーデルの命令を聞くはずなのだが、なぜか動かない。


「申し訳ありません。しかし、御身の安全のために、致し方ないのです」


 そんな言い訳さえして、騎士達はルーデルの動きをガッチリと封じる。そして、それ以外の騎士達は、我輩へ……いや、恐らくは、フルルへと向かって走り出す。


「ふむ、『氷結』」


 ただ、その瞬間、飼い主が唱えた魔法により、床が凍りつき、騎士達は盛大に滑って転ぶ。


「『縛』『縛』『縛』『縛』」


 それを見ていたバルディスは、転んだ騎士達をどんどん魔法で縛り上げていく。


「くっ、勇者殿っ! 邪魔をしないでくださいっ」

「ふっ、断るのだっ!」


 暴れるミアトをどうにか拘束していたバルトは、その現状を見て声を荒げたが……そんなことを聞き入れてくれる飼い主ではないのだ。

 ちなみに、ザルトは魔法も駆使して、炎で攻撃してくるものの、我輩、全てを同威力の水魔法で打ち消す。


 物理は弾き、魔法は打ち消す。これぞ、『なんこうふらく』なのだっ!


「くっ、勇者殿の猫はただの猫ではなかったかっ! この強さは、竜でも擬態しているのかっ!?」

「にゃごっ(違うのだっ)」


 なぜかここでも我輩=竜疑惑をかけられながら、モッフモッフとザルトの拳を跳ね返していく。


「タロ」

「にゃご? (うむ?)」

「今度、時間があったらその状態で私とも遊んでくれ」

「に、にゃご(り、了解なのだ)」


 途中、飼い主に声をかけられ、我輩、何だか不味いような気がしながらも返事をする。


 大丈夫なのだ。きっと、飼い主との遊びは楽しい……は、ず……? ……怖かった記憶が多い気がするのは気のせいなのだ。


 そうしてすぐに、ザルトとバルト、そして、他の騎士達は飼い主に捕縛されるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


モッフモフゥ!!

いやぁ、モフンモフンなタロにはぜひとも触ってみたいという欲望が弾けた結果のお話な気がします。

次回、なぜこんな行動に出たのかが明らかに……なる予定です。

それでは、また!
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