我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百八十四話 大音量

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 城中のありとあらゆる場所から響くその音に、我輩達は頭の中が掻き回されるような不快な感覚に陥る。


「『不協和音』」


 しかし、そんな音の本流の中、飼い主が発動した魔法は凄まじい効力を発揮した。


「に、にゃあっ(あ、頭がっ)」

「ぐっ」

「うぅ……」


 今度は、不快どころか、頭が痛くなる。あまりの大音量に、我輩だけでなく、周囲に居た者達は全員が頭を抱える。


 これは、絶対に失敗なのだっ!


 飼い主が何をしようとしているのかは知らないが、こんなに頭が痛くなる魔法はきっと失敗であろう。

 ……そう、思っていたのだが……。


「ふむ、終わったようなのだ」


 その声と同時に、今まで頭を揺さぶっていた音が消える。


「に、にゃあ(た、助かったのだ)」

「まだ、痛い……」

「うぅ……」


 我輩は床でぐったりし、その他の王族、及び騎士達も耳を押さえてうずくまったままだ。


「ケント、いったい何をしたんだ?」

「うむ、その前に、先程の会話をどれだけ覚えている?」

「? 王太子達がフルルのことをファルシス魔国の間者だと主張したのと、残してきた王妃達を見に行った方が良いという話だったよな?」

「うむ、とりあえず、ここに居る者は守れたと思うのだ」


 大きくうなずく飼い主に、何が何だか分からないといった様子のバルディスだったが、周りを見て、辛そうにしている王族や騎士達を憐れに思ったらしい。


「ケント、タロ、『治癒』魔法は使えるか?」


 そんな言葉に、我輩、さっさと『治癒』で自分を治し、フルルやミアト、その他の面々も、飼い主と一緒に『治癒』で治していく。


「勇者殿、先程の暴力的な音はいったい……?」

「また、記憶を書き換えられそうになっていたため、対抗しただけなのだ」


 ルーデルの言葉に堂々と宣言する飼い主に、そういえば『不協和音』を使っていたと思い出す。どうやら、『心術』をかけられる際に『不協和音』を使用すれば、十分対抗できるらしい。


「それは、何の記憶を……?」

「分からないのだ。ただ、可能性が高いのは、ここに居ない王族に対する記憶だと思われるのだ」


 ここに居ない王族といえば、王妃を筆頭に、まだ数人居たはずだ。王女達とか、王子達とか。


「……もう一度、指示を出すこととしよう」


 そう言って、ルーデルは、またあの球体に手を当てて、誰かと『念話』を行うのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さぁ、どんな記憶の書き換えが起こったのか。

次回、早速判明します。

それでは、また!
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