我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百九十話 夢の中で(三)

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《うん、これなら快適だ》

「にゃっ!? (ロンドの声っ!?)」


 『悪食』を行使したことにより、ロンドの姿が消え、我輩、これで良かったのかと悩む暇もなく、ロンドの声を聞く。


「に、にゃあ? (ど、どこから?)」


 キョロキョロと辺りを見渡しても、ロンドの姿はどこにもない。


《ボクは、今、キミの中に居るんだ。捜したって見つからないよ》

「にゃ……(にゃんと……)」

《それより、早くここから脱出しよう。まずは、目を閉じて》


 わけの分からない事態に戸惑っていると、ロンドからそんな指示が飛ぶ。我輩、色々と疑問ではあったものの、とりあえずここから逃げたいのは事実であるため、そっと目を閉じる。


《通路確保……安全確保……接続、完了っと。じゃあ、そのままの状態で走ろうか》

「に、にゃっ? (こ、このままっ?)」

《目を開けるのはダメ。それをしたら、きっと捕まっちゃうから》


 目を開きかけていた我輩は、そんな言葉を聞いて、ギュッと目を閉じることにする。


《さぁ、急いで》


 ロンドの言葉をどこまで信じて良いのかなんて分からない。しかし、今は信じるしかない。
 徐々に迫ってくる嫌な気配から逃れるように、我輩、少しずつ歩き出し、次第に走る動きへと変換していく。


《急げ、急げ》


 言われなくとも、分かっているのだっ。


 焦った様子のロンドの声に、何度も目を開きそうになりながら、それを我慢して走り続ける。そして……。


《跳んでっ!》

「にゃっ(ほっ)」


 ロンドの言葉に応えて、ジャンプした直後だった。


「むっ? タロ?」


 愛しい愛しい飼い主の声が聞こえた。


《もう、目を開けても良いよ》


 そして、そのロンドの声に、我輩、ゆっくりと目を開き……ようやく、飼い主の顔を目にすることができる。


「タロ。どんな楽しい夢を見ていたのだ?」

「にゃ……? (楽しい、夢……?)」


 絶対、楽しいなんてものではなかったはずなのだが、飼い主の中では、なぜか、我輩、楽しい夢を見たことになっているらしい。


《タロ様っ、ご無事で良かったですっ》

「む?」


 そして、唐突に聞こえたタマの声に、飼い主は訝しげに反応して、じっと我輩の顔を覗き込む。


「……何が、あったのだ?」

「にゃあ(我輩にもさっぱりなのだが)」


 そう言いながら、我輩達はお互いに疑問符を浮かべるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


とりあえず、これでタロの夢は終わりです。

後程、どういう状況なのかは……タマとロンド辺りが説明してくれるでしょう。

それでは、また!
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