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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百九十二話 宰相
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「ひぃっ、本当に、ボク、藁人形の中に入っちゃった!?」
飼い主の手の中でモゾモゾと動く藁人形、改め、ロンドは、戸惑った様子だ。
「うむ、成功なのだ。これで、タロを傷つけずに復讐ができるのだ」
「ふ、復讐!?」
「うむ、無難に五寸釘で打ち付けるのが良いであろうか?」
「五寸釘!? どこが無難なんだっ!?」
「日本の文化では、藁人形といえば五寸釘なのだ」
「何っ、その物騒過ぎる文化はっ! 異世界、怖いっ!」
飼い主の手から必死に逃れようとするロンドだが、所詮は藁人形。飼い主はびくともしない。
「と、まぁ、それは後に回すとして」
「えっ? いや、できれば永遠にそんな恐怖は味わいたくないんだけど!?」
ブンブンと首を横に振る藁人形を横目に、飼い主は我輩から視線を外し、後ろを振り向く。
「にゃ(あっ)」
「話は終わりましたか? 勇者殿」
そこは、広い客室だったらしく、ルーデルとバルト、ザルト、ミアトが揃っていて、他にも数名の騎士が彼らの周りで待機していた。
「うむ、終わったのだ。それで、そちらでは何か分かったことはあったのか?」
飼い主がそう問いかけると、ルーデルはおもむろにうなずき、一人の騎士へと目配せをする。
「はっ、今回、存在を忘れられた方は、王妃様や王子殿下、王女殿下方だけでではなく、宰相のルバート・ニーロ様に関する記憶も失われていることが判明いたしましたっ」
「む? 宰相? 私は、そのような者を紹介してもらった覚えはないのだが?」
「それは、当然のことでしょう。ルバートは、勇者殿がいらっしゃる少し前に、不審火によって家が全焼し、彼自身も重傷を負って休んでいたのですから」
ルーデルのその言葉に、飼い主はさらに分からないという顔をして、眉間にしわを寄せる。
「ただし、不思議なことに、我々は勇者殿から記憶を戻してもらうまで、全くの別人を、ずっとルバートだと思い込んでおりました」
「にゃ? (どういうことなのだ?)」
別人を宰相だと思い込んでいた? それは、そう、記憶が書き換えられていたということなのだろうか?
「我々以外の者が忘れてしまったのは、そんな、別人がルバートに成り代わっていたという記憶なのです」
「……話は分かった。では、その別人とやらに心当たりはないのであろうか?」
「……あります」
ルーデルと飼い主の会話に口を挟んできたのは、バルトだった。
「彼は、フルルの教育係。バース・デルラです」
それから、我輩達は、その者に関する説明を受けるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回は、ようやく話が事件の方に戻ってきました。
次回辺りで、バルディス達が出てきて……くれるかなぁといったところです。
それでは、また!
飼い主の手の中でモゾモゾと動く藁人形、改め、ロンドは、戸惑った様子だ。
「うむ、成功なのだ。これで、タロを傷つけずに復讐ができるのだ」
「ふ、復讐!?」
「うむ、無難に五寸釘で打ち付けるのが良いであろうか?」
「五寸釘!? どこが無難なんだっ!?」
「日本の文化では、藁人形といえば五寸釘なのだ」
「何っ、その物騒過ぎる文化はっ! 異世界、怖いっ!」
飼い主の手から必死に逃れようとするロンドだが、所詮は藁人形。飼い主はびくともしない。
「と、まぁ、それは後に回すとして」
「えっ? いや、できれば永遠にそんな恐怖は味わいたくないんだけど!?」
ブンブンと首を横に振る藁人形を横目に、飼い主は我輩から視線を外し、後ろを振り向く。
「にゃ(あっ)」
「話は終わりましたか? 勇者殿」
そこは、広い客室だったらしく、ルーデルとバルト、ザルト、ミアトが揃っていて、他にも数名の騎士が彼らの周りで待機していた。
「うむ、終わったのだ。それで、そちらでは何か分かったことはあったのか?」
飼い主がそう問いかけると、ルーデルはおもむろにうなずき、一人の騎士へと目配せをする。
「はっ、今回、存在を忘れられた方は、王妃様や王子殿下、王女殿下方だけでではなく、宰相のルバート・ニーロ様に関する記憶も失われていることが判明いたしましたっ」
「む? 宰相? 私は、そのような者を紹介してもらった覚えはないのだが?」
「それは、当然のことでしょう。ルバートは、勇者殿がいらっしゃる少し前に、不審火によって家が全焼し、彼自身も重傷を負って休んでいたのですから」
ルーデルのその言葉に、飼い主はさらに分からないという顔をして、眉間にしわを寄せる。
「ただし、不思議なことに、我々は勇者殿から記憶を戻してもらうまで、全くの別人を、ずっとルバートだと思い込んでおりました」
「にゃ? (どういうことなのだ?)」
別人を宰相だと思い込んでいた? それは、そう、記憶が書き換えられていたということなのだろうか?
「我々以外の者が忘れてしまったのは、そんな、別人がルバートに成り代わっていたという記憶なのです」
「……話は分かった。では、その別人とやらに心当たりはないのであろうか?」
「……あります」
ルーデルと飼い主の会話に口を挟んできたのは、バルトだった。
「彼は、フルルの教育係。バース・デルラです」
それから、我輩達は、その者に関する説明を受けるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回は、ようやく話が事件の方に戻ってきました。
次回辺りで、バルディス達が出てきて……くれるかなぁといったところです。
それでは、また!
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