我輩は紳士である（猫なのに、異世界召喚されたのだが）

第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百九十四話 穴蔵ギルド

　カレッタ小王国、ルトの冒険者ギルドは、いくつか点在しているらしく、俺達は道行く人にその場所を聞いて、一番近い場所へと向かった。


「ここが、冒険者ギルド……？」


　その冒険者ギルドの建物は、何とも物寂しい佇まい……いや、ここははっきり言おう。かなり、ボロボロだった。
　看板は斜めに倒れかけているし、屋根も所々朽ちているように見える。木造の壁は、大量の蔦に巻き付かれ、所々穴が空いてるように見受けられる。


「……バル、さすがにここはやめませんか？」


　ギルドの建物を見て、ラーミアもさすがにそんな意見を出す。


「ちゃんと、依頼、あるかも不安」


　ディアムのその指摘も最もだ。ただし……。


「この中に、強者の気配はあるんだよな……」


　こんなおんぼろギルドの中に、なぜか、強い者の気配がある。それさえなければ、俺もさっさと回れ右をしたいところではあったものの、できることなら、この気配の主とは友好関係を築いておきたい。少なくとも、敵対すれば、かなり厄介だと思えるだけの相手なのだから……。


「入ってみるか」

「正気ですか？　バル」

「やめる、推奨」


　ラーミアもディアムも、そんな俺の意見にギョッとした様子で反論してくるものの、もう一度入ることを宣言すれば大人しくなる。


「分かりましたわ。とりあえず、中がどんな状態でも対応できるように覚悟はしておきますわ」

「同意」


　そんな言葉を聞きながら、俺は、立て付けの悪い扉を慎重に開ける。


　バキッドスンッ。


「「「あっ」」」


　しかし、どうやら扉は寿命だったらしい。軽く押しただけだったのに、扉は嫌な音を立てて、そのままギルドの中へと倒れてしまった。


「おー、やっぱ寿命だったかぁ」


　入り口でそのまま固まっていると、中に居た強い気配を持つ男が現れる。男は、無精髭を生やして、頭もボサボサ、服もヨレヨレだったが、その眼光は鋭く、俺達をじっと観察する。


「まぁ、入ってくれや。何か用事があって来たんだろ？」


　蛇に睨まれた蛙のように、体を硬直させた俺達だったが、一通りの観察が終わったのか、男はニッと笑ってギルドに入るよう促す。


「ようこそ、穴蔵ギルドへ。魔族諸君」


　ギルドへ入った直後に投げかけられたその言葉に、俺達は、言葉を失うのだった。


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新しい人物が登場しましたねぇ。

いや、わりとキーになる人物にする予定なんですけどね。

それでは、また！