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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第四百五話 張り込み
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「あそこか……」
ラダ族族長の息子、リャンクーが出入りしているという店を教えてもらった俺達は、ひとまず、その店を見張ることにする。リャンクーを見つけたなら、すぐに確保して、事情を説明するつもりだった。
「俺は勧めないがなぁ……」
ちなみに、なぜか、アグニもついてきている。どうも、俺のことが心配だとのことだが、相手は記憶を操ることしかできない、戦闘能力のない男だ。遅れを取ることなどないだろう。
現在、俺とアグニが表の出入口、ラーミアとディアムが裏口で待機している。
店は、少し煤けたような色の煉瓦で作られており、看板が一つ、ドンと店に立て掛けられている。『わだつみ』と書かれたその店の看板には、魚が跳ねている絵が描かれており、店から漂う匂いも相俟って、魚をメインにした料理店だということが分かった。
「ずっとここに居たら腹が減りそうだ」
「おっ、なら、今度旨い料理を出す店に連れてってやるよ。お前達もまだしばらくはこの国に居るんだろ?」
「……遠慮する」
ギルドで、俺はアグニにしこたま酒を飲まされた。体質的にあまり酔わないとはいっても、全く酔わないわけでもない。今回は、どうにか断ったものの、一緒に食事となると、どれだけ飲まされるのか、考えたくもない。十中八九、翌日は二日酔いだ。
「何だ、つまらんな。お祖父ちゃんに遠慮なんてするもんじゃないぞっ」
「俺達は俺達で目的のために動いている。他にかまけてる暇はないんでな」
早く、ファルシス魔国に戻って、態勢を整えたい。弟のアーディスのことも、俺達を謀ったであろう左大臣のことも気になる。恐らくは、俺の優秀な婚約者であるナージャが、ある程度国を回してくれてはいるだろうが、それでも早く帰るに越したことはない。
まぁ、通る国々での問題も放置はできないんだがな……。
本当なら、アルトルム王国も、サナフ教国も、セイクリア教国も、カレッタ小王国も、全て、ただ通過するだけの国だったはずだ。しかし、いつの間にかトラブルに巻き込まれ、しかも、それが放置してしまえばファルシス魔国にとってマイナスになると分かってしまったのだから、見過ごすこともできない。
旅をするうちに、勇者を仲間にしたり、先代魔王が関わってきたり、邪神なんてものと敵対したりと、かなり波乱万丈な生活を送っているような気はするが、最初から、ファルシス魔国に帰ることが第一の目的だ。アグニの誘いに乗るわけにはいかない。
「そうか……なら、目的が達成できた暁には、俺と飲もうぜ」
「……ほどほどになら」
ニヤリと笑うアグニへと、ぶっきらぼうに返して、俺はしっかりと出入口を注視するのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
もうちょっと、バルディス視点は続く、かな?
それでは、また!
ラダ族族長の息子、リャンクーが出入りしているという店を教えてもらった俺達は、ひとまず、その店を見張ることにする。リャンクーを見つけたなら、すぐに確保して、事情を説明するつもりだった。
「俺は勧めないがなぁ……」
ちなみに、なぜか、アグニもついてきている。どうも、俺のことが心配だとのことだが、相手は記憶を操ることしかできない、戦闘能力のない男だ。遅れを取ることなどないだろう。
現在、俺とアグニが表の出入口、ラーミアとディアムが裏口で待機している。
店は、少し煤けたような色の煉瓦で作られており、看板が一つ、ドンと店に立て掛けられている。『わだつみ』と書かれたその店の看板には、魚が跳ねている絵が描かれており、店から漂う匂いも相俟って、魚をメインにした料理店だということが分かった。
「ずっとここに居たら腹が減りそうだ」
「おっ、なら、今度旨い料理を出す店に連れてってやるよ。お前達もまだしばらくはこの国に居るんだろ?」
「……遠慮する」
ギルドで、俺はアグニにしこたま酒を飲まされた。体質的にあまり酔わないとはいっても、全く酔わないわけでもない。今回は、どうにか断ったものの、一緒に食事となると、どれだけ飲まされるのか、考えたくもない。十中八九、翌日は二日酔いだ。
「何だ、つまらんな。お祖父ちゃんに遠慮なんてするもんじゃないぞっ」
「俺達は俺達で目的のために動いている。他にかまけてる暇はないんでな」
早く、ファルシス魔国に戻って、態勢を整えたい。弟のアーディスのことも、俺達を謀ったであろう左大臣のことも気になる。恐らくは、俺の優秀な婚約者であるナージャが、ある程度国を回してくれてはいるだろうが、それでも早く帰るに越したことはない。
まぁ、通る国々での問題も放置はできないんだがな……。
本当なら、アルトルム王国も、サナフ教国も、セイクリア教国も、カレッタ小王国も、全て、ただ通過するだけの国だったはずだ。しかし、いつの間にかトラブルに巻き込まれ、しかも、それが放置してしまえばファルシス魔国にとってマイナスになると分かってしまったのだから、見過ごすこともできない。
旅をするうちに、勇者を仲間にしたり、先代魔王が関わってきたり、邪神なんてものと敵対したりと、かなり波乱万丈な生活を送っているような気はするが、最初から、ファルシス魔国に帰ることが第一の目的だ。アグニの誘いに乗るわけにはいかない。
「そうか……なら、目的が達成できた暁には、俺と飲もうぜ」
「……ほどほどになら」
ニヤリと笑うアグニへと、ぶっきらぼうに返して、俺はしっかりと出入口を注視するのだった。
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もうちょっと、バルディス視点は続く、かな?
それでは、また!
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