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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第四百四話 作業中

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「ふむ、できたのだ」


 そう言って手に取ったのは、竜の鱗から作られた小さなイヤリング。これには、『不協和音』の魔法を込めているため、これを身に着けている者は『心術』にかからなくなる。
 ルーデルに用意してもらった作業室の作業台の上に乗せたそれらは、全部で十組あった。二十分間に、作り上げたのは十組。イヤリングそのものは、宝飾細工を専門とするものに要請して届けてもらい、後は『不協和音』の魔法を込めるだけの状態だったが、上手くいったようだ。


「ルーデル達に届けなくてはな」


 ルーデルとバルト、ザルト、ミアト、フルル、後は、タロが『心術』を解いた騎士達。しかし、これは自分達用にも必要なものであるため、まだまだ数は足りない。最終的には、城で働く者全員に配らなければならないため、どんどん作らなければならなかった。


「一時間ならば、三十組ができる計算か……先は長いのだ」


 そう考えながらも、私は集中して作業に取りかかる。残念ながら、私とタロ以外で『不協和音』を使える者は確認していないし、居たとしても、信用の問題がある。作業を代わってもらうわけにはいかなかった。


 ふむ、三十組ほどできたなら、バルディス達と連絡を取るべきであろうな。王妃達の行方が心配なのだ。


 現在、バルディス達が王妃の行方を追って、情報を集めているはずである。特に定期連絡に関して話はしていないが、後一時間もすれば、何か分かっているかもしれない。
 そうして黙々と作業をしていると、先にタロから連絡が入った。


《にゃー、にゃー(飼い主、飼い主)》

《む? タロか? どうしたのだ?》


 タロには、『心術補助魔法具』の回収と、『心術』にかかった者への解析を主に行ってもらっている。ある程度解析が進めば、彼らを一同に集めて、一斉に『不協和音』をぶつける予定だった。


《にゃあにゃ(飼い主、騎士舎の中で『心術補助魔法具』が見つかったのだ)》


 しかし、そんなタロの言葉に、私は作業量が倍に増えたかのような錯覚を覚える。


《何? それは……相当に不味いな。タロ、出来る限り、そこで『心術』の解除をしてきてほしい。あと、魔法具の回収もだ》

《にゃっ(分かったのだっ)》


 騎士舎で『心術』が使われているのは不味い。なぜならそれは、やろうと思えば『心術』使いがこの国を騎士達を用いて滅ぼすことも可能だということなのだから。


「……もう少し、作業をするのだ」


 幸い、一組を作るスピードは少し上がってきている。これならば、一時間で四十組くらい作れるかもしれない。
 そうして私は、また黙々と作業に戻った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


次は……誰視点にするか考えておりませんが、バルディスかルーデル辺りかなと。

それでは、また!
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