我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第四百十七話 混戦

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 向かってきた仮面の魔族……いや、先代魔王を前に、俺達は即座に行動に移した。


「ディアムっ!」

「御意っ」


 一瞬にして『闇化』を解くと、俺は先代魔王を食い止めるべく駆け出す。今度は、腕が持っていかれるようなヘマはしない。
 振り下ろされる戦斧を避け、俺は剣でそいつを斬りつける。しかし、あらかじめ結界でも張っていたのか、俺の剣は硬質な音とともに弾かれる。


「っ、バル! そのお方はっ!」

「分かっている! 殺すつもりはないっ!」


 仮面の魔族が先代魔王だと知っているマギウスが叫ぶが、俺とて、先代魔王を殺すつもりはない。むしろ、何とかしてこの『洗脳』だか何だか分からない状態を解除して、味方に引き込みたいくらいだ。


「『水球獄すいきゅうごく』」

「『影弓』」


 ラーミアとディアムがそれぞれ参戦し、先代魔王は、その攻撃を避けるために距離を取る。そして、ロギーはといえば、先代魔王のことをマギウスから聞かされたらしく、少し混乱している様子だった。


「侵入者だっ!」

「おぅ、良いぞ! やっちまえっ!」


 望まないギャラリーからの言葉を聞きながら、俺はすぐに『念話』でマギウスとロギーに指示を送る。


《ここは俺達が食い止める。その間、王妃達の救出に向かってくれっ》

《っ、魔王様を、頼む!》

《あぁ》


 返事はマギウスのみだったものの、ロギーもマギウスとともに動き出す。


「ひ、へへっ、おい、ここに上玉が居るぞ!」

「おぉ、こりゃあ、何とも……おいっ、あの強そうな奴を先に何とかしろっ!」

「おぅっ」


 ただ、マギウスを見た奴隷商らしき人物達は、一斉に気味の悪い笑顔を浮かべて品定めをする。金髪碧眼の美少女に見えるマギウス。それなのに、一応男なマギウス。そんなマギウスは、一身に気色の悪い視線を受けて、一緒に走っていたロギーの背中にさっと身を隠す。


「むっ、任せろ! 『活火山』」


 マギウスへの視線に気づいたロギーは、すかさずマグマを生成する魔法を唱えて、襲いかかってきた奴等を小規模なマグマの爆発に巻き込んでいく。


「ぎゃあっ」

「ぐあぁっ」


 手加減無用とばかりに容赦なくロギーは敵を屠っていく。


「『操術』」


 マギウスもマギウスで、少し離れた敵を操っては、こっそりと同士討ちをさせている。


「『炎槍』」


 再び接近してきた先代魔王に魔法を打ち込みながら、俺達は、戦場と化したこの場で、とにかく先代魔王の足止めに尽力するのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


混戦になってきましたね。

そして、ロギーは、マギウスが男だと分かっていても、ちょっと守りたい気持ちが芽生えてたりするのかも?

それでは、また!
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