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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第四百十八話 強大な先代魔王
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先代魔王の力は恐ろしいほどに強力だ。恐らくは、一対一では勝てないであろうと思える強さ。ラーミアやディアムとともに戦っていても、勝つ見込みはないに等しい。それでも、今は戦わなくてはならない。他でもない、大切なファルシス魔国のために。そこにかけられた冤罪を晴らし、先代魔王を傷つけないために。
マギウスとロギーが、多くの奴隷商の護衛達を蹴散らす中、俺達は意識を張り詰め、先代魔王が振るう戦斧の衝撃をどうにかかわし続けていた。この戦いは、長引けば長引くほどこちらが不利だ。死者が出れば、先代魔王はそれを操って俺達にけしかけてくるだろう。そうなれば、エルブ山脈の時の二の舞になりかねない。
「『水鎖』」
「『火炎竜巻』」
ラーミアが『水鎖』で先代魔王を一瞬拘束すると、その間を縫って俺が『火炎竜巻』を発動させる。しかし、先代魔王は並外れた身体能力で『水鎖』を破壊し、『火炎竜巻』の範囲から逃れてしまう。それを確認したディアムが、竜でも昏睡する猛毒を塗った針を投げるものの、それらは全て、戦斧に阻まれてしまう。
「くそっ」
「っ、バル! 『多重結界』をっ!」
中々攻撃が当たらない上、先代魔王の攻撃は一撃一撃が重い。そんな中、先代魔王が初めて攻撃魔法を使う気配に、俺はその威力を想定し、すぐに、ラーミアの言葉通り、『多重結界』を展開する。
黒い靄のようなものが先代魔王の体から吹き出したかと思えば、一気にそれが幾本もの触手となり、俺達へと向かってくる。
バリンッバリンッ!
五重に張った結界のうちの二枚が、その攻撃で破れ、俺達は冷や汗を浮かべながら次に来る攻撃をかわすべく、それぞれに散る。しかし、それはどうやら悪手だった。
「っ、二人とも、戻れっ!」
それは、広範囲殲滅魔法。とてもではないが、こんな狭い場所で使うような魔法ではなかったが、それが、俺達の方向へと向けられ、範囲内に居るディアムとラーミアへと必死に呼び掛ける。
「ぐっ! 『多重結界』!」
間に合うことを信じて、上空から落ちてきた闇の塊から身を守るようにして、『多重結界』を発動させる。
バリンッ、バリンッ、バリンッ、バリンッ。
視界の端に、ラーミアとディアムの姿が映る中、俺は『多重結界』に魔力を注ぎ続ける。後一枚が割れてしまえば、もうおしまいだ。
ビシッ!
闇の塊の力に押し負けて、最後の一枚にひびが入る。
ビシビシビシッ。
ひびが広がり、もうダメかと思ったその時。ようやく、闇の塊は力を失って霧散した。
「「バル!」」
汗が滝のように流れ、視界が覚束ない。完全に魔力を使い果たした俺は、もう、立っているのがやっとで、ラーミアとディアムの声に反応することすらできない。
「オォォォオッ」
しかし、それでも、まだ先代魔王は立っている。
化け物め。
俺を守るように前に出たラーミアとディアムに、俺はどうにか撤退の指示を出そうとした直後、一台の荷馬車が走り出すのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
いやぁ、絶体絶命のピンチ、というやつですね。
今回は、タロとケントの助けも期待できない状況。
でも、ちゃんと救済はしますよ。
それでは、また!
マギウスとロギーが、多くの奴隷商の護衛達を蹴散らす中、俺達は意識を張り詰め、先代魔王が振るう戦斧の衝撃をどうにかかわし続けていた。この戦いは、長引けば長引くほどこちらが不利だ。死者が出れば、先代魔王はそれを操って俺達にけしかけてくるだろう。そうなれば、エルブ山脈の時の二の舞になりかねない。
「『水鎖』」
「『火炎竜巻』」
ラーミアが『水鎖』で先代魔王を一瞬拘束すると、その間を縫って俺が『火炎竜巻』を発動させる。しかし、先代魔王は並外れた身体能力で『水鎖』を破壊し、『火炎竜巻』の範囲から逃れてしまう。それを確認したディアムが、竜でも昏睡する猛毒を塗った針を投げるものの、それらは全て、戦斧に阻まれてしまう。
「くそっ」
「っ、バル! 『多重結界』をっ!」
中々攻撃が当たらない上、先代魔王の攻撃は一撃一撃が重い。そんな中、先代魔王が初めて攻撃魔法を使う気配に、俺はその威力を想定し、すぐに、ラーミアの言葉通り、『多重結界』を展開する。
黒い靄のようなものが先代魔王の体から吹き出したかと思えば、一気にそれが幾本もの触手となり、俺達へと向かってくる。
バリンッバリンッ!
五重に張った結界のうちの二枚が、その攻撃で破れ、俺達は冷や汗を浮かべながら次に来る攻撃をかわすべく、それぞれに散る。しかし、それはどうやら悪手だった。
「っ、二人とも、戻れっ!」
それは、広範囲殲滅魔法。とてもではないが、こんな狭い場所で使うような魔法ではなかったが、それが、俺達の方向へと向けられ、範囲内に居るディアムとラーミアへと必死に呼び掛ける。
「ぐっ! 『多重結界』!」
間に合うことを信じて、上空から落ちてきた闇の塊から身を守るようにして、『多重結界』を発動させる。
バリンッ、バリンッ、バリンッ、バリンッ。
視界の端に、ラーミアとディアムの姿が映る中、俺は『多重結界』に魔力を注ぎ続ける。後一枚が割れてしまえば、もうおしまいだ。
ビシッ!
闇の塊の力に押し負けて、最後の一枚にひびが入る。
ビシビシビシッ。
ひびが広がり、もうダメかと思ったその時。ようやく、闇の塊は力を失って霧散した。
「「バル!」」
汗が滝のように流れ、視界が覚束ない。完全に魔力を使い果たした俺は、もう、立っているのがやっとで、ラーミアとディアムの声に反応することすらできない。
「オォォォオッ」
しかし、それでも、まだ先代魔王は立っている。
化け物め。
俺を守るように前に出たラーミアとディアムに、俺はどうにか撤退の指示を出そうとした直後、一台の荷馬車が走り出すのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
いやぁ、絶体絶命のピンチ、というやつですね。
今回は、タロとケントの助けも期待できない状況。
でも、ちゃんと救済はしますよ。
それでは、また!
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