我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第四百三十五話 美味しいお店

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 飼い主と二号とともに、我輩達は街に繰り出す。様々な種類の建物が入り交じる街は、見ているだけでも何とも楽しい。


「にゃー? (どこに行くのだ?)」


 二号に抱き上げられていた我輩は、モフモフされながら目的地を知っているはずの飼い主に質問する。ちなみに、二号の角は、『幻術』で隠蔽ずみだ。


「うむ、この世界に来て、私はまだ自分で食事する店を選んでいなかったと思ってな。少し早いが、昼食にしようと思っているのだ」

「にゃっ(昼食っ)」

「ふっ、やはり食べることが好きなんだな。可愛い……」


 『昼食』という言葉に反応すると、二号はニコニコと我輩をモフモフする。


 あ、そこ、気持ち良いのだ。


 そんなこんなで、我輩達は、飼い主の導きに従って、食べ物屋さんを探索する。


「うぅむ、クラーケン料理の店……イカ料理の店と同じようなものなのだろうか?」

「サンダーボアの店はオススメだぞ? それなりに刺激的で、しかも旨い」

「む、ケルトが言うならば、間違いないであろうな。では、その店にしてみるか」

「にゃあっ? にゃあっ? (サンダーボアって、どんな味なのだっ? ささみより美味しいのかっ?)」


 まだ見ぬ料理を前に、我輩、ウキウキワクワクが止まらない。飼い主達が向かった店は、木造の建物で、何とも味のある木目調の看板がかかったお店だった。『バーストボア』と書かれたその店からは、食欲をそそる良い匂いが立ち込めている。


「『バーストボア』……焦げているのか?」

「いや、まぁ、回りが焦げ付くほどの火力は使うみたいだが、焦げたものを出すわけじゃないぞ」


 飼い主と二号が何か言っているが、我輩、匂いの元が気になって仕方ない。


「にゃっ、にゃあっ(早くっ、早く行くのだっ)」

「うむ、入ってみるとするのだ」


 我輩の様子に苦笑を浮かべた飼い主は、店の扉を押し開けて中へと入る。


「にゃあぁぁっ(ふおぉぉおっ)」


 扉を開けた途端に香る肉の焼ける匂いに、我輩、ドキドキワクワクが止まらない。二号に抱き上げられていなければ、走り回りたいくらいなのだ。


「二名様、と使い魔同伴ですか?」

「うむ、そうなのだ」


 飼い主の答えに、我輩、一刻も早く肉にありつきたくて、二号の腕の中で何度も『早く、早く』と鳴く。


「それでは、こちらへどうぞ。注文がお決まりになりましたら、お呼びください」


 窓際の席に案内された我輩達は、早速とばかりにメニューに目を落とすのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


事件は、明日の更新で起こる予定です。

それでは、また!
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