我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第四百四十八話 変身変身っ

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 まずは、ロギーからなのだ。


 我輩、緊張の面持ちで見つめてくるバルディス達を前に、狙いを定める。
 前もって、飼い主から『幻術』のコツは聞いているため、今回は失敗することはないはずだ。


 ようは、正反対の要素を注ぎ込めば良いのだ。


 筋肉質で、厳つい顔をしたロギーを見て、我輩、すぐにイメージを固める。


「にゃっ(『幻術』なのだっ)」


 すると、ロギーの姿はみるみる変わっていき……ぽっちゃり体型のオタク男子になった。ちなみに、メガネを装備しており、額はとってもテカテカなのだ。


「こ、これは……」

「……すまぬ。どんな姿になったのか、見せてはくれないか?」


 絶句するバルディス達を見て、ロギーは不安な面持ちでラーミアへと頼む。そして、ラーミアは目を逸らしながら、無言で『水鏡』を出した。


「ぐっ、こ、これは……」

「……タロ、他にはなかったのか?」


 ショックを受けたように青ざめるロギーに、バルディスは我輩へそんな問いかけをしてくる。


「にゃ? (うむ?)」


 何かいけなかっただろうかと首を捻ると、バルディスは遠い目をして、ロギーの肩にポンと手を置く。


「すまない。どうも変更は受け付けないらしい」

「なん、と……」


 とうとう膝をついてうなだれてしまったロギー。我輩、何が悪かったのか、全く分からないのだ。うなだれたロギーへ、マギウスは駆け寄って、必死に慰めている。


「タロ、俺、格好いいのが希望」

「わ、私は、可愛いでお願いしますわ」

「俺は、渋い感じで頼む」


 ロギーの状態を目にしたバルディス達は、ディアム、ラーミア、バルディスの順にそれぞれ希望を告げてくる。


「にゃっ! (分かったのだっ!)」


 しっかりと方向性を示された我輩は、ちゃんとその通りにイメージする。そして……。


「にゃっ! (『幻術』なのだっ!)」


 その直後、そこに居たのは、戦隊ものの赤いヒーローと、魔法を使える絶壁なピンクの髪の美少女、あと、眉間に深すぎるシワを刻み込んだ、マフィアの首領ドンだった。


「にゃー(ふぅ、良い仕事をしたのだ)」


 ちゃんと、全員の希望に沿った『幻術』をかけられたことに満足していた我輩は、尻尾をユラリと振る。


「バルディス、ですか……?」

「渋い、より、顔面、凶悪?」

「ちょっと待て、今確認して……おわっ」


 気に入ってくれたのか、バルディスはそんな悲鳴を上げてくれたり。


「ラーミアは……可愛いといえば可愛いが……」

「……本当に、別人」

「……ふー、確認、してきますわ」


 深呼吸をして、恐る恐る『水鏡』の元へ向かったラーミアは、自分の姿を見た瞬間固まってくれたり。


「ディアムも……割りとイロモノか?」

「……そもそも、なぜ赤ですか……?」

「……見て、くる」


 どこか震えながら自分の姿を確認したディアムは、『格好いい……』と呟いてくれたり。

 とにかく、反応は上々だった。


「……ディアムの感性ってどうなってるんだ?」

「……申し訳ありません。私にも、こればっかりは分かりませんわ」


 こうして、変装は完了したのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


とっても可愛い男の娘と、ぽっちゃり体型のオタクさん、魔法少女的絶壁美少女と、戦隊もの赤いヒーロー、マフィアのドン、それとついでに、紳士服を着たデブ猫……うわぁっ、イロモノ集団、ここに爆誕しちゃいましたよっ。

いや、書くのはとっても、とーっても、楽しかったですけどね?

それでは、また!
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