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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇
第四百六十五話 天使様?
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馬車が到着すると、僕はその先に見えた建物に息を呑む。
「あっ、そうだ。言ってませんでしたけど、私、ルビーナ商国首長の娘なんです」
うん、知ってる。
タロからの情報によって、それは知っていた僕だったが、やはり目の前にその証があるのは違う。その建物は、堅牢な石造りの白と緑を基調とした横長の建物で、門から建物の間に二つの塔が両サイドに建っているのが見える。
「あの塔は、それぞれ文官と武官が暮らす寮なんですよ」
そう言いながら、ヨナは慣れた様子でさっさと門を潜る。
僕は、少し緊張しながら、ヨナに続く形で門を潜った。
「父は、多分執務室に居ると思いますので、しっかりついてきてくださいね。でないと迷いますよ?」
「うん、分かった」
僕が元四天王だと分かっているのに、この態度。もしかしなくとも、ヨナは大物かもしれない。
彼女に導かれるままに、なぜか玄関に大きく飾られた魚拓を見ながら、複雑な道を進んでいく。
これは、覚えられる気がしないや。
最初から覚える気などなかったものの、グルグルとどこを巡っているのかも判断がつかない様子に、僕は早々に考えを放棄する。
そうしてしばらく進むと、やけに立派な扉が目の前に現れた。
ヨナは、その扉を躊躇うことなくノックすると、扉の向こうからの誰何にしっかりと名乗って入室する。それに対して、僕もしっかりとついていくと……そこは、魚拓マニアの部屋としか思えない様相だった。
右を見れば魚拓、左を見れば魚拓、前を見れば……巨大な魚拓と、執務室用と思われる机と椅子に座る強面の男性。この部屋の名前が、執務室という名前であること自体、間違っているような気がしないでもない。いっそのこと、魚拓部屋と改名した方が良いのではないかと思えてくる。
「父さん、例の方を連れてきましたよ」
「ふむ、そうか……天使様?」
そして、僕を見てそんな反応を示す男性に、『あぁ、親子なんだな』と妙に感心してしまう。
「天使ではありません。僕は、マギウス。今回は、娘さんをボスティア海国に同行させたいと思い、そのための説明に参りました」
まずは、天使疑惑をぶったぎって、僕は本題へと入るのだった。
「あっ、そうだ。言ってませんでしたけど、私、ルビーナ商国首長の娘なんです」
うん、知ってる。
タロからの情報によって、それは知っていた僕だったが、やはり目の前にその証があるのは違う。その建物は、堅牢な石造りの白と緑を基調とした横長の建物で、門から建物の間に二つの塔が両サイドに建っているのが見える。
「あの塔は、それぞれ文官と武官が暮らす寮なんですよ」
そう言いながら、ヨナは慣れた様子でさっさと門を潜る。
僕は、少し緊張しながら、ヨナに続く形で門を潜った。
「父は、多分執務室に居ると思いますので、しっかりついてきてくださいね。でないと迷いますよ?」
「うん、分かった」
僕が元四天王だと分かっているのに、この態度。もしかしなくとも、ヨナは大物かもしれない。
彼女に導かれるままに、なぜか玄関に大きく飾られた魚拓を見ながら、複雑な道を進んでいく。
これは、覚えられる気がしないや。
最初から覚える気などなかったものの、グルグルとどこを巡っているのかも判断がつかない様子に、僕は早々に考えを放棄する。
そうしてしばらく進むと、やけに立派な扉が目の前に現れた。
ヨナは、その扉を躊躇うことなくノックすると、扉の向こうからの誰何にしっかりと名乗って入室する。それに対して、僕もしっかりとついていくと……そこは、魚拓マニアの部屋としか思えない様相だった。
右を見れば魚拓、左を見れば魚拓、前を見れば……巨大な魚拓と、執務室用と思われる机と椅子に座る強面の男性。この部屋の名前が、執務室という名前であること自体、間違っているような気がしないでもない。いっそのこと、魚拓部屋と改名した方が良いのではないかと思えてくる。
「父さん、例の方を連れてきましたよ」
「ふむ、そうか……天使様?」
そして、僕を見てそんな反応を示す男性に、『あぁ、親子なんだな』と妙に感心してしまう。
「天使ではありません。僕は、マギウス。今回は、娘さんをボスティア海国に同行させたいと思い、そのための説明に参りました」
まずは、天使疑惑をぶったぎって、僕は本題へと入るのだった。
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