我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第四百七十九話 ボスティア海国へ

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 帆を張り、錨を上げて進み出した船。操縦は交代で行うこととなり、現在はラーミアが操舵、ロギーが見張りだ。


「さて、ボスティア海国まで向かうこととなったが、ルビーナ商国からボスティア海国までの間に、何も起こらないとは思えない。何せ、十日はかかる距離だからな」

「漁師達、妨害、受けた」

「そうだったね。そんな情報もあったっけ」

「にゃあっ(妨害などへっちゃらなのだっ)」


 改めて情報を確認すれば、漁師達の中には今まで死者こそ出ていないものの、突如として渦潮が発生して引き返すこととなったり、あるはずのない岩礁に乗り上げて船が破損し、小舟で脱出を図ることとなったり、海の魔物達に襲われて、ほうほうの体で逃げ帰ったりと、何とも大変な目に遭い続けている。


「そこでだ。まずは見張りの強化をしておきたいと思う」


 そう言えば、視線が一斉にタロへと注がれる。


 ……魔王より猫であるタロの方が頼りにされる状況って、良く考えてみるとおかしいよな?


 そうは思うものの、実際に頼りになることに変わりはない。そして、確かに俺もタロに頼ろうとしていた手前、強くは言えない。


「にゃ? (うむ?)」

「タロ、何か方法はないか?」


 そう尋ねれば、タロは『タマ』とやらに話しかけて相談を始める。


「にゃー……(ふむふむ、その方法なら……)」

「にゃっ!? (にゃんとっ!?)」

「にゃあ(『はい』なのだ)」


 『タマ』というのは、タロを助けてくれる『サポートシステム』の名前らしいのだが、いかんせん、その声は俺達には聞こえない。何を言っているのか分からないままに、俺達は突如発動された魔法に戸惑う。


「バル、今、すごい魔力」

「あ、あぁ」

「今度は何をやらかしたの?」

「にゃあにゃっ(この船全体に『監視』魔法をかけたのだっ)」

「……この船全体に『監視』魔法をかけたらしい。だが、タロ、それだけじゃないだろ?」

「にゃ。にゃー(うむ。『浮遊』魔法と『反射』魔法もかけているのだ)」


 そう言われて、今現在、船特有の揺れがなくなっていることに気づく。しかし、船はしっかりと進んでいた。……風が吹く方向に。


「ひとまず、『浮遊』魔法は禁止だ」

「にゃ? (うむ?)」


 これでは、操舵ができない。そう思って、俺はタロに通達するのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ちょっとギリギリに更新……。

何かミスがあれば、後で修正します。

それでは、また!
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