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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇
第五百話 リィ(ピィ)ちゃんはどこ!?
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リィちゃんを檻に入れるのは何とも心苦しかったが、これもリィちゃんの安全のためだと自分に言い聞かせて、フワフワでもっちもちなリィちゃんを素敵な檻の中に入れたのは昨日の夜のこと。私は、リィちゃんを寝室に連れていき、リィちゃんが寂しくないように側で一緒に眠っていた。賊が来たとしても、すぐに対応できるように。しかし……。
「リィ、ちゃん……?」
朝、目が覚めた私の前には、無惨に破壊された檻。リィちゃんの姿はどこにもない。
「リィちゃん!」
私は、即座にミルフィーユ嬢の関与を疑った。地上嫌いのミルフィーユ嬢ならば、地上の生き物であるリィちゃんの抹殺くらいやってのけると思ってしまった。しかし……。
「くっ、なぜ、私は目覚めることがなかった?」
私は、気配には敏感な方だ。少しでも敵意や害意があれば、確実に目を覚まして、賊を捕らえることができていたはずなのに、実際のところ、リィちゃんは誘拐されてしまっている。つまりは、敵はやろうと思えば私の命を奪うこともできたということだ。
相手が悪過ぎる。そのくらいのことは、常々『脳筋』と言われているような私にも理解できる。たった一日一緒に居ただけの、地上の生き物が誘拐されただけだ。普段ならば、引き下がることか懸命だと理解して、納得して、実際、行動に移していただろう。しかし……。
「リィちゃんは、捨てられたばかりだったんだぞ?」
リィちゃんは、地上の心ない人間どもに捨てられた被害者だ。ようやく、私の元に来て、安住の地を手に入れたというのに、この仕打ちはあんまりだった。
「フィフィー! フィフィーは居ないかっ!」
私は手早く身支度をすませると、城を泳ぎ回り、海の華騎士団副隊長であるフィフィーを探す。
「朝からうるさいですよ隊長」
「それどころじゃないんだっ!」
朝は大抵不機嫌なフィフィー。いつもなら、こんな風に声をかければ書類地獄に突き落とされると思って、極力避けているものの、リィちゃんのことを知っているのは、フィフィーしか居ない。イライラしている様子のフィフィーに、私は意を決して、本題を突きつける。
「リィちゃんが誘拐された」
「っ!?」
一瞬にして目を見開いたフィフィーは、次の瞬間には険しい顔立ちになる。
「隊長が一緒に居たのでは?」
「私が眠っている間に誘拐されたらしい」
「……どうやら、敵は強大ですね」
私と同じ結論に至ったフィフィー。しかし、フィフィーの目には、諦めの色はなく、そのことに大きく安堵する。
「ピィちゃんを、何としてでも捜し出しますよ」
「あぁっ」
そうして、リィ(ピィ)ちゃんの捜索が、秘密裏に始まるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
はい、タロを保護してくれた二人のお話でした。
実際のところ、タロは誘拐されたわけじゃなく、自分で出ていったのですが……まぁ、分かるわけがありませんよね。
それでは、また!
「リィ、ちゃん……?」
朝、目が覚めた私の前には、無惨に破壊された檻。リィちゃんの姿はどこにもない。
「リィちゃん!」
私は、即座にミルフィーユ嬢の関与を疑った。地上嫌いのミルフィーユ嬢ならば、地上の生き物であるリィちゃんの抹殺くらいやってのけると思ってしまった。しかし……。
「くっ、なぜ、私は目覚めることがなかった?」
私は、気配には敏感な方だ。少しでも敵意や害意があれば、確実に目を覚まして、賊を捕らえることができていたはずなのに、実際のところ、リィちゃんは誘拐されてしまっている。つまりは、敵はやろうと思えば私の命を奪うこともできたということだ。
相手が悪過ぎる。そのくらいのことは、常々『脳筋』と言われているような私にも理解できる。たった一日一緒に居ただけの、地上の生き物が誘拐されただけだ。普段ならば、引き下がることか懸命だと理解して、納得して、実際、行動に移していただろう。しかし……。
「リィちゃんは、捨てられたばかりだったんだぞ?」
リィちゃんは、地上の心ない人間どもに捨てられた被害者だ。ようやく、私の元に来て、安住の地を手に入れたというのに、この仕打ちはあんまりだった。
「フィフィー! フィフィーは居ないかっ!」
私は手早く身支度をすませると、城を泳ぎ回り、海の華騎士団副隊長であるフィフィーを探す。
「朝からうるさいですよ隊長」
「それどころじゃないんだっ!」
朝は大抵不機嫌なフィフィー。いつもなら、こんな風に声をかければ書類地獄に突き落とされると思って、極力避けているものの、リィちゃんのことを知っているのは、フィフィーしか居ない。イライラしている様子のフィフィーに、私は意を決して、本題を突きつける。
「リィちゃんが誘拐された」
「っ!?」
一瞬にして目を見開いたフィフィーは、次の瞬間には険しい顔立ちになる。
「隊長が一緒に居たのでは?」
「私が眠っている間に誘拐されたらしい」
「……どうやら、敵は強大ですね」
私と同じ結論に至ったフィフィー。しかし、フィフィーの目には、諦めの色はなく、そのことに大きく安堵する。
「ピィちゃんを、何としてでも捜し出しますよ」
「あぁっ」
そうして、リィ(ピィ)ちゃんの捜索が、秘密裏に始まるのだった。
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はい、タロを保護してくれた二人のお話でした。
実際のところ、タロは誘拐されたわけじゃなく、自分で出ていったのですが……まぁ、分かるわけがありませんよね。
それでは、また!
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