我輩は紳士である（猫なのに、異世界召喚されたのだが）

第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第五百一話 攻撃手段

　うむ？　今、何か、我輩がレディに求められている予感がしたのだ。


　そんなことを思いながら、我輩、ディアム達についてテクテクと歩く。現在、我輩は人の姿のままで、ついていっているのだ。ヨナからは後ろからじーっと見られているが、ここは気にしてはいけないのだ。

　と、そんな風に歩いている我輩の前で、ディアムが静かに立ち止まり、手で合図を送ってくる。この合図は……。


　ここを曲がった先に、誰か、居るのだろうか？


　今、我輩達はすでに海水の中なのだ。だから、下半身が魚な者が迫ってきたら、我輩達はきっと逃げられない。一気に緊張が走る中、我輩、懸命に息を潜める。すると……。


「セージャか？　いや……そこに居るのは何者だっ！」


　息を潜めていたにもかかわらず、我輩達を察知したらしい者によって誰何される。


「答えなき場合は不審者とみなすっ」


　そんな言葉にディアムは眉を潜め……飛び出す合図を出してきた。


「我輩は紳士なのだっ！」


　そうして名乗りをあげて、我輩、ディアム達とともに突撃する。


「っ、脱獄したのかっ！？」


　目の前に居たのは、青い鱗の男性。驚いた表情をしたその男は、そのまま手に持っていた三ツ又の槍を構える。


「止まらねば殺す！」


　そう告げた男性であったが、我輩達が止まれるはずもないのだ。


「『影弓』」


　ディアムの先制攻撃に、男性は素早く上に逃れてそれをかわす。


「『水流壁』」


　そして、つい最近、緑のレディが使ったのと同じ魔法を唱えられて、我輩、慌てる。


　っ、このままでは捕まるのだっ！


　今回ばかりは捕まるわけにはいかない。我輩、懸命に考えを巡らせた結果……。


「『重量化』なのだっ！」


　下から押し上げてきた何かを、我輩、体を重くすることで相殺する。


「なっ」

「タロ、ナイス！」


　『水流壁』がなくなったことで、突撃を緩めることなく、ディアム達は様々な魔法を発動させる。しかし、やはり水中での戦闘はフリだった。我輩達は、全ての動きがノロノロになるのに対し、下半身が魚な者達は素早く動けるのだ。しかも、上に逃げるという手段すらある。


「こうなれば……『雷槍』！」


　我輩としては、かなり速い攻撃魔法を選んだつもりだった。しかし、その結果はといえば……。


「「「ギャアァァァアッ」」」


　『雷槍』を出した瞬間、なぜか、あちらこちらから野太い悲鳴が響き渡るのだった。


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はい、雷が水中に出現すれば、当然そうなりますよね？

さぁ、タロはともかく、ディアム達は無事なのか？

それでは、また！