我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第五百七話 我輩にだけ、冷たい

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 我輩、後からやってきたバルディス達からもお説教され、しょんぼりなのだ。マギウスに至っては、青ざめた顔で恨めしそうにこちらを見てくるので、とても、とても、怖かったのだ。きっと、猫の姿であれば、耳が垂れていたのだ。


「えっと……話の流れから察するに、あなたがバルディスさんで、こっちがマギウスさん、ですか?」


 お説教が終わって一段落したところで、ヨナが恐る恐る声をかけてくる。


 そういえば、ヨナは元の姿のバルディス達を見るのは初めてのはずなのだ。


 ヨナは、なぜかバルディスを見たまま、頬を赤く染めている。


「この姿が、あの姿だったなんて、あり得ないです」


 そんな一言に、ディアムとヨナ以外の視線が我輩に集中する。


「うむ?」

「文句はタロに、だな」


 わけが分からないながらも、バルディスの言葉にうなずく周りの者達に、何やら通じるものがあるのだと考える。


「まぁ、それはひとまず置いておいて……後はラーミアだけだな」

「バル達、見てない?」

「見てない。そっちはどうだ?」

「見てない」


 バルディスとディアムがお互いに確認をし合う中、我輩、ラーミアならば無事であろうと、根拠もなく思い込む。


「ラーミアなら、大抵のことはどうにでもできるが……早く合流しないとな」

「同意」

「ぬ……もう少し、心配した方が良いのではないか?」


 ロギーが口を挟んでくるものの、これは……そうっ、信頼の証というやつなのだ。


「ラーミアさんも美人なんでしょうか?」


 そして、なぜか暗い空気を醸し出すヨナは……良く分からないため、様子見なのだ。


「でも……その前に、お客」

「あぁ、さすがに、あの激流は派手だったしな……」


 ディアムとバルディスが戦闘態勢を整える中、ロギーと我輩もそれに続いてそちらへと目を向ける。


「水を操るラーミアが居ないのが痛い」

「えっ? 我輩は?」

「同意」

「我輩も水は操れるのだっ」

「ラーミアなら、問題なさそうだ」

「我輩を忘れないでほしいのだっ!」

「そうですね」

「全員無視!?」


 バルディスもディアムもロギーもヨナも、酷いのだっ!


 そう思っている間にも、敵は迫ってくる。そして……。


「ここは、我輩の力の見せ所なのだっ!」


 その瞬間、バルディス達がギョッとした表情をしたものの、我輩、お構い無しに魔法を唱える。


「『土蔵』なのだっ!」


 その瞬間、我輩達の視界は、暗闇に包まれた……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さぁ、タロ、汚名返上なるか!?

最近はお説教が多かったので、ここら辺でタロをちゃんと活躍させたいところです。

それでは、また!
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