我輩は紳士である（猫なのに、異世界召喚されたのだが）

第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第五百十話 リィちゃんを捜して

「リリーヌ公爵家に使者を送りましたが、やはり、ピィちゃんのことは知らないとの返答でした」

「そうか……」


　現在、私とフィフィーは、どうにかしてリィちゃんを救い出そうと奮闘していた。しかし、リィちゃんに関する情報が皆無な上、地上から来た人間達の問題もある。と、いうより、本来は、地上の人間達の問題の方が重要だった。


「それで、昨日の騒ぎの原因は分かったか？」

「いえ、不明なままです。あれほどの激流を起こすとなれば、相当な化け物だと思われますが、今は影も形も見えないとのことです」


　リィちゃんのことは、かなり気になるが、仕事をしないわけにもいかない。私は、昨日起こった急な激流騒ぎの原因を尋ねてみたものの、どうも原因が分からないとの返答に首をひねる。


「あの巨大魚が動き出したのかとも思ったが……それも違うのか？」

「はい、巨大魚は依然として、無の大地に居座っているとのことです」


　ある日、突如として出現した巨大魚。周りに居る者を全て呑み込み、ただただ漂う脅威を前に、討伐隊が組まれるのは必然だった。しかし、その討伐隊は、巨大魚に接近中という連絡を最後に、戻ってくることはなかった。


「……激流の調査に、巨大魚の動向把握、地上の人間達の捕縛、リィちゃん救出……どれも、重要だな」

「……ピィちゃん、無事ですかね？」


　本音を言えば、地上の人間はどうでも良い。激流の調査は、害がなければ問題ないし、巨大魚は、あのまま動かないでいてくれれば、討伐隊の無念はあれど、大丈夫なのではないかと思えた。問題は、リィちゃんの安否だ。


「二日、か……」


　最後に見たリィちゃんは、グッスリと眠る可愛らしい姿だった。しかし、今はあの可愛らしい声で、必死に私達に助けを求めているかもしれないと思えば、心が苦しくなる。


「リリーヌ公爵家では、最近、何か騒動があったと思われます。それも、激流騒ぎの直前に、です」

「それと関係があるってことか？」

「分かりませんが……もし、関係があれば、そこからピィちゃんへ続く道を開くことも可能かと」


　激流騒ぎの直前、あの公爵家では、多くの者が失神するという出来事が起こっていたらしい。しかし、調査をしようにも、リリーヌ公爵家はそれを頑なに拒絶したため、具体的に何がどうなっているのかは不明だ。


「……あそこは、後ろ暗いところが多いと思われる家だが……ずっと尻尾が掴めていない今、そう簡単にことが運ぶとは思えない」

「ですよ、ね……」


　ガックリとうなだれるフィフィー。しかし、私は諦めるつもりはなかった。


「とりあえず、周辺の聞き込みを始めるぞ」

「っ、はいっ、分かりました！」


　私が調査に乗り出すということを知ったフィフィーは、今まで見たことがないくらいに張り切る。


　さぁ、私も頑張らないとな。


　とにかく、リィちゃんを助けたい。その一心で、私達は行動を開始するのだった。


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はい、リィちゃん、ピィちゃんこと、タロちゃんは、思いっきり二人のハートを鷲掴みにしております(笑)

この二人のパートはまだちょっと続く予定。

それでは、また！