我輩は紳士である（猫なのに、異世界召喚されたのだが）

第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第五百十三話 最善策

　我輩達が地中に身を潜めて三日。未だ、目新しい情報は集まらない……と思っていたのだが、ここに来て、一つの疑惑が浮上した。


「にゃー？　（巨大魚は、あのタコと同じなのではないだろうか？）」


　そう、どうにも、その巨大魚は瘴気を纏っている風なのだ。


「その可能性は高いだろうな」


　情報を集めるに従い、その可能性が大きくなってきたと判断した我輩達は、その巨大魚の情報を並べてみる。


「巨大魚は、何者をも近づけない黒い靄を纏っているらしいな」

「あと、討伐隊が一度組まれて、全滅したって話だよね」

「無の大地と呼ばれる場所から動かないというのもある」


　バルディスとマギウス、ロギーが会話に参加する中、現在、ディアムは情報収集のために出ている。ヨナの方は、今は一休み中だ。地中であるためはっきりとはしないものの、今の時間帯は夜らしかった。


「にゃあ？　（無の大地に、何があるのだろうか？）」


　普通に考えれば、邪神教徒のアジトなり、『邪神の眼』がありそうなその場所。しかし、そこにはそもそも人が近づけないという話だし、巨大魚以外から黒い靄が漂っているような情報もないため、どちらも微妙と言わざるを得なかった。


「ラーミアの情報も、お姫様の情報も集まらないとなると、ひとまずはそっちを確認してみるのも手じゃないかな？」


　マギウスの言うことには、一理ある。ただ、問題があるとすれば……。


「にゃにゃ？　（我輩、ここを離れても良いのであろうか？）」


　この地中潜伏作戦は、我輩が絶え間なく『土蔵』の魔法を発動させ続けることができているからにほかならない。食料に関しては、バルディス達に持たせることもできるが、この『土蔵』だけは、我輩でなければ維持できないものだった。


「それがあるんだよな……」


　我輩の言葉に頭を抱えるバルディス。我輩だって、レディを脅かす巨大魚の存在は無視できないのだ。……けっして、我輩が食べたいからではないのだっ。

　しかし、我輩が『土蔵』を維持しなければ、バルディス達が見つかってしまう可能性が高い。我輩の言葉をマギウス達に説明するバルディスを見ながら、我輩、どうすべきかをその小さな頭で考えてみる。


「……じゃあ、こういうのはどうかな？」


　皆で真剣に考えている中、ふいに、マギウスが声を上げる。そして告げられたその提案は、恐らくは、今、我輩達にできる最善策で、我輩、とりあえずそれを受け入れるのであった。


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戻って参りました、タロ視点！

さて、示された案は一体どんなものなのかっ。

それでは、また！