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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇
第五百二十九話 唐突な出会い
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食料の調達が不可能だという結論に達した俺達の士気は、駄々下がりだった。色々と期待していただけに、これは、辛い。
「はぁ……」
食料以外に必要なものなどあるわけもなく、俺達はトボトボと市場を抜けてその先へと泳いでいく。
「どうする? バル?」
「食料に関しては、諦めるしかないだろうな。それで、情報入手に関しても、ゆっくり情報を得るという方法は厳しいだろうな」
そう言う俺が見るのは、食事を提供しているであろうレストラン。しかし、その看板にあるのは明らかに生の魚介類の絵だ。レストランがこんな調子では、他の食事を提供するあらゆる場所で、食事の席に着くことを諦めるしかない。つまりは、そういった席で情報収集するわけにはいかないのだ。
「買い物で、情報を得ますか?」
「それが妥当だろうな」
他の情報収集の方法と言えば、道端を泳いでいる誰かに話しかけるか、買い物の中で情報を引き出すかくらいだろうか? どちらにしても、俺達は見慣れないよそ者にしか見えないだろうから、深い情報を得るには時間がかかりそうだ。
「おわっ」
「おっと、すまない。前を見ていなかった」
ぼんやりと考えながら泳いでいたせいか、前方への意識が疎かになっていたらしい。俺は、角を曲がってぶつかりそうになった赤い鱗を持つ女性に謝る。
「いや、大丈夫だ。こちらこそ不注意で申し訳ない」
彼女は、三ツ又の槍を手に、持ったまま、俺の謝罪に応じる。
武器を持った魚人、か……警備隊か何かか?
ひとまずは、あまり関わらない方が良い相手だろうと判断して、俺はそのままもう一度謝ると、そのまま立ち去ろうとする。
「あっ、ちょっと待て! そっちは今、トラブルが起きているから、行かない方が良いぞ」
「トラブル?」
しかし、そんな彼女の言葉に、俺達は足を止めることとなる。
「あぁ……っと、そうだ、それと、少し聞きたいことがあるんだが、このくらいの、白いフワフワとした生き物を見てはいないか? あっ、黒い服も着ているんだ」
このくらいの、と手で大きさを示した彼女に、俺は、ちょうどタロくらいのサイズだな、と思い、その後、白いだとか、黒い服だとかいう情報に、嫌な予感がする。
「あ、あと、鳴き声が『にゃあ』って鳴き声なんだが……」
タロっ、この魚人とはどういう関係だっ!?
ここには居ないタロへ、俺は心の中で懸命に抗議する。
「それは……」
恐らく、下手な嘘を吐くべきではない。もしバレれば、相手の権力がどう作用するかが分からない。
「何か、激流に流されている白い生き物を見た気がするな」
「本当か!?」
「あ、あぁ」
「もし良ければ、その場所に案内してくれないかっ!?」
そして、俺は、彼女の言葉を断ることもできずに、うなずくこととなる。
「バル、俺達、別行動?」
「……すまないが、それで頼む」
どうやら、俺は、タロと彼女の関係を探る必要がありそうだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お互い敵同士、なのに、片方は全く気づいていない状況です。
さぁ、バルディスはちゃんと嘘を貫けるのかっ。
それでは、また!
「はぁ……」
食料以外に必要なものなどあるわけもなく、俺達はトボトボと市場を抜けてその先へと泳いでいく。
「どうする? バル?」
「食料に関しては、諦めるしかないだろうな。それで、情報入手に関しても、ゆっくり情報を得るという方法は厳しいだろうな」
そう言う俺が見るのは、食事を提供しているであろうレストラン。しかし、その看板にあるのは明らかに生の魚介類の絵だ。レストランがこんな調子では、他の食事を提供するあらゆる場所で、食事の席に着くことを諦めるしかない。つまりは、そういった席で情報収集するわけにはいかないのだ。
「買い物で、情報を得ますか?」
「それが妥当だろうな」
他の情報収集の方法と言えば、道端を泳いでいる誰かに話しかけるか、買い物の中で情報を引き出すかくらいだろうか? どちらにしても、俺達は見慣れないよそ者にしか見えないだろうから、深い情報を得るには時間がかかりそうだ。
「おわっ」
「おっと、すまない。前を見ていなかった」
ぼんやりと考えながら泳いでいたせいか、前方への意識が疎かになっていたらしい。俺は、角を曲がってぶつかりそうになった赤い鱗を持つ女性に謝る。
「いや、大丈夫だ。こちらこそ不注意で申し訳ない」
彼女は、三ツ又の槍を手に、持ったまま、俺の謝罪に応じる。
武器を持った魚人、か……警備隊か何かか?
ひとまずは、あまり関わらない方が良い相手だろうと判断して、俺はそのままもう一度謝ると、そのまま立ち去ろうとする。
「あっ、ちょっと待て! そっちは今、トラブルが起きているから、行かない方が良いぞ」
「トラブル?」
しかし、そんな彼女の言葉に、俺達は足を止めることとなる。
「あぁ……っと、そうだ、それと、少し聞きたいことがあるんだが、このくらいの、白いフワフワとした生き物を見てはいないか? あっ、黒い服も着ているんだ」
このくらいの、と手で大きさを示した彼女に、俺は、ちょうどタロくらいのサイズだな、と思い、その後、白いだとか、黒い服だとかいう情報に、嫌な予感がする。
「あ、あと、鳴き声が『にゃあ』って鳴き声なんだが……」
タロっ、この魚人とはどういう関係だっ!?
ここには居ないタロへ、俺は心の中で懸命に抗議する。
「それは……」
恐らく、下手な嘘を吐くべきではない。もしバレれば、相手の権力がどう作用するかが分からない。
「何か、激流に流されている白い生き物を見た気がするな」
「本当か!?」
「あ、あぁ」
「もし良ければ、その場所に案内してくれないかっ!?」
そして、俺は、彼女の言葉を断ることもできずに、うなずくこととなる。
「バル、俺達、別行動?」
「……すまないが、それで頼む」
どうやら、俺は、タロと彼女の関係を探る必要がありそうだった。
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お互い敵同士、なのに、片方は全く気づいていない状況です。
さぁ、バルディスはちゃんと嘘を貫けるのかっ。
それでは、また!
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