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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第五百六十話 巨大魚探索(四)

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「にゃあっ(飼い主、あそこに檻があるのだっ)」

「うむ、私からも見えるのだ……誰か、居るようなのだ」

「にゃあ? (二号を呼ぶのか?)」

「うむ、呼ぼう」


 二号と別れて、巨大な檻の中を泳いでいた我輩達は、二号を呼んで、見えた檻へと向かうことにする。


「ケルト、檻が見つかったのだ」

「檻?」

「うむ、誰かが居るようなので、一緒に見るべきだと思うのだ」

「分かった。行こう」

「にゃっ(行くのだっ)」


 元来た道を泳いで戻り、我輩達は檻の前に立つ。


「女性の魚人、であるな」

「あぁ」

「にゃあっ! にゃーっ(倒れているのだっ! きゅーきゅーしゃなのだっ)」


 恐る恐る近づいてみれば、そこには、金の鱗と金の髪を持つレディが、力なくグッタリと倒れている。これは、きっとただごとではないと、我輩、飼い主にこういうときの常套句を言ってみる。


「きゅーきゅーしゃ?」

「タロ、この世界に、救急車はないのだ」

「にゃっ!? (にゃんとっ!?)」


 しかし、どうやら我輩、発言を間違ったらしい。


「今は、この檻の破壊が優先なのだ」


 我輩、何かを間違えたらしいことにうなだれていると、飼い主はおもむろに我輩を離して、檻の鉄格子、らしきものに手をかける。


「ふんぬっ」

「おぉっ」

「にゃあっ(すごいのだっ)」


 飼い主が、両腕を開くように動かせば、鉄格子はグニャリと曲がり、我輩達が通れる隙間ができる。


「にゃっ(これで、レディを助けられるのだっ)」

「っ、いや、待つのだ。タロっ」


 レディに近づこうとした我輩を呼び止めた飼い主。我輩は、その言葉に忠実に従って……すぐに、飼い主が見た異変に気づく。


「瘴気っ」

「なぜ、魚人から瘴気が……っ、タロ、避けるのだ」

「にゃあっ(うむっ)」


 ユラリと起き上がったレディから溢れる瘴気が、我輩を狙って無数の棘となって襲いかかり、我輩、水を操ってとにかくそれらから逃れる。


「これは、邪神の眷族だとでもいうのか!?」

「いや、彼女が操られている線もあるのだっ」

「シェリラ……逃げ、て……」

「にゃあぁぁあっ(棘が追ってくるのだぁぁあっ)」


 無数の棘は、我輩が逃げた後も、なぜか執拗に我輩を追いかけてくる。


 チクチクは嫌なのだぁっ!


 飼い主や二号を無視して我輩だけを追う棘達。


「タロ、全力で逃げ回るのだっ。私達は、この女性を何とかするのだっ」

「腕の見せ所、だな」

「にゃあぁぁぁあっ(助けてほしいのだぁぁぁあっ)」


 そんな我輩の叫びも虚しく、飼い主達は、レディの元で何かの魔法を展開し始めるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


タロ、囮役になりましたね。

まぁ、この女性は助けなきゃですよね。

それでは、また!
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