我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第五百六十五話 フィリア

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 飼い主の説明に、初め、フィリアは全く信じていなかった。しかし、巨大魚を何とかしていなければ、フィリアはここには居ないということを主張すれば、少しだけ考えてくれた。そして……。


「どうしても信じられないのであれば、その目で確かめることもできるのだ」


 そう言って、フィリアと……ついでにヨナも連れて『転移』した飼い主は、しばらくすると、青ざめた二人を連れて戻ってくる。


「にゃ? (二人に何を見せたのだ?)」

「うむ、少し、戦闘シーンをだな」


 どうやら、飼い主は本格的に巨大魚を潰してきたらしい。これで、ボスティア海国の『邪神の眼』が一つ、消えたのだ。


「タロ。私は、残りの『邪神の眼』を破壊してくるのだ」

「にゃあ? (我輩が一緒でなければ、破壊できないのではないのだろうか?)」

「私は、それなりに訓練を積んできたのだ。今ならば、小さなものはタロの手を借りずとも、破壊できるのだ」

「にゃっ! (さすが飼い主なのだっ!)」

「うむ、では、行ってくるのだ」


 そうして、また、二号を連れて『転移』で去ってしまった飼い主。その事実に、寂しさを感じるものの、今は感傷に浸っている場合ではないのだ。

 我輩は、バルディス達に、『ケントは常識から外れているから仕方ない』だとか、『あれは異例中の異例です』だとか、『気にするな』だとか言って慰められているヨナを見る。


 ううむ、まだ、欠片が戻ってくる気配はないのだ。


 フィリアと会えたことで、欠片が戻ってくるのではないかと思っていた我輩は、それにガッカリする。


「バル様? それよりも、彼女を保護したことを、どうこの国の者に伝えるおつもりですの?」


 慰めが一段落したところで、ナージャが声を上げる。


 うむ? どういう意味なのだ?


「彼女は、この国で行方不明になったという王女なのでしょう?」


 その問題に直面して、我輩達はバルディスへ注目するのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ちょっと短くなりましたが、キリが良いので。

次、別視点になります。

それでは、また!
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