我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第一章 アルトルム王国の病

第三十八話 作戦と実践(二)

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 薬の作成中に、我輩、探索能力に関しての説明をバルディスに行っていたため、説明はスムーズになされる。


『ドキン薬

微量の滋養強壮効果、及び、マリス毒への特効薬としての効果がある。

アルトルム王国ではポピュラーな薬。

飲んだ直後、十秒ほど動悸が起こることから、平民の子供達の間で遊びに使われている。

ただし、マリス毒への特効薬ということは、ほとんど知られていない』


 そんな説明が出たことも話して、バルディスは本題である、この薬をどう広めるかという我輩の案を話し出す。


「そこで提案なんだが、タロとチャーに、それなりに薬に精通していて、なおかつ、それを広められるだけの力を持つであろう人物を見つけてもらい、この薬の場所まで案内させるというのはどうだろうか?」

「なるほど。タロのその能力があれば、そうした人物を捜すのにも苦労はなさそうですね」

「薬、手紙でも、添える?」

「にゃあ? にゃ(俺もですか? 師匠)」

「にゃにゃ(うむ、チャーが一緒なら、土地勘のない我輩でも捜しやすいのだ)」

「にゃ(なるほど)」


 話してみれば、トントン拍子で進む作戦会議。手紙の内容はラーミアが考え、最初に相手に渡す手紙とは別に、薬の側に置く予定の手紙の場所は、ディアムの提案により、今は誰にも使われていないであろう教会となる。
 我輩とチャーは、まず、目的の人物を見つけることが最優先で、その後、手紙を届け、教会に案内し、そこでまた薬に添えた手紙を読んでもらえるようにしようとなった。
 ちなみに、バルディスは、宿屋の備品調達を手紙を書き終えたラーミアとともに行うこととなり、ディアムは、我輩達に着いてきてくれるらしかった。

 そして……。


「にゃあっ。にゃーにゃ(見つけたのだっ。宮廷薬師なのだ)」


 前もって、探索の結果、どんな言葉が出る相手が良いのかを伝えられていた我輩は、その中でももっとも良い相手として教えられた『宮廷薬師』を見つける。元々、宮廷薬師が目的で城の近くまで来たのだが、こんなに早く見つかるなんて、幸先が良いのだ。

 宮廷薬師を見つけた我輩は、すぐにディアムへと合図を送る。これで、ラーミアの手紙をディアムから受け取れるのだ。

 ディアムの足をテシテシと前足で叩けば、ディアムは我輩に手紙を手渡す。


「にゃー(行くぞ)」

「にゃ(はい)」


 そうして、どこか顔色の悪い宮廷薬師へと、我輩は手紙をくわえて駆け寄った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


やっぱり、千文字前後なら毎日の更新も何とかなりそうです。

……明日はちょっと忙しいので、更新できるかどうか分かりませんが、明後日は確実に更新しますね。

それでは、また!
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