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第一章 アルトルム王国の病
第五十五話 予定変更
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城への侵入は、順調だった。警備をかわし、罠を乗り越え、何も、問題はないはずだった。そう、その場所に来るまでは。
「どうしましょう。バル。あれって、国王、ですよね?」
「どうって……明らかに、標的の部屋に向かっているよな?」
「今、姫、接触、不味い」
「にゃあ(ううむ、確かに、不味いのだ)」
「にゃ? (何がいけないんです?)」
こっそりと交わされた会話から分かるように、そこには、国王であるセルバスが居た。しかも、護衛騎士を連れて、サリアーシャ姫の元へと向かっている最中らしい。
恐らく、まだ暗い時間帯ではあるものの、今現在、サリアーシャ姫の部屋の中にはミルテナ帝国の間者と思われる者が居るはずだ。今、鉢合わせてしまえば、確実にセルバスはサリアーシャ姫に刺されてしまう。
「……にゃ(……我輩が行くのだ)」
何としてでも、今、セルバスがサリアーシャ姫の部屋に入ることは阻止しなければならない。そして、その任務に適任なのは、不審者でしかないバルディス達でも、ただの猫でしかないチャーでもなく、力を持ち、油断を招くチャーミングな体を持った我輩以外に居ないであろう。
「……分かった。なら、念話で指示を出す。タロはそれに従ってくれ」
「にゃ(分かったのだ)」
「にゃー(師匠、ご武運を)」
コソコソとした相談を終えると、我輩、一気にセルバスの元へと駆け出す。
「む、猫?」
「どこから入ってきたんだ?」
飛び出した瞬間こそ体を強張らせた護衛騎士達であったが、猫だと分かると、我輩を見て訝しげにしながらも警戒することはない。
《タロ、国王をこちらに誘導してくれ。場所は指示を出す》
頭の中に響く声に、我輩、少しびっくりしたものの、『サポートシステム』やセイクリアで慣れていたため、その声がバルディスのものだと判断し、指示に従う。
「にゃー(こっちへ来てほしいのだ)」
「猫……? いや、この猫は、どこかで……?」
我輩が駆け寄ると、セルバスは我輩を見つめて考え込む。
「陛下、恐らくはどこかの飼い猫と思われますので、宿舎で預かろうと存じますが」
「あ、あぁ」
護衛騎士の一人が提案する中、我輩、ちょっとだけ思い出したのだ。このセルバスという者は、我輩を召喚した時に居た者なのだ。きっと、セルバスは我輩を見て、召喚のことを思い出したのであろうが、反応を見る限り、完全に思い出しているわけでもなさそうだった。
そうして、護衛騎士に捕まりそうになるのを、我輩、華麗に避ける。我輩の任務は、セルバスをここから離れさせることなので、引くわけにはいかない。
「にゃあ。にゃーにゃあ(ダメなのだ。捕まるわけにはいかないのだ)」
我輩、セルバスのズボンの裾に前足を引っ掛けて、どうにか誘導しようとする。
「こ、こらっ、陛下のお召し物になんてことをっ」
「よいよい。それより、どうやら、この猫はどこかに連れていきたいようだ。さすがに、サリアの部屋へ行くのは早すぎるであろうし、少し散歩がてら、着いていってみようではないか」
「ですが、陛下、もしも獣人が関与していれば危険かもしれません」
「そういう時のための護衛であろう? 何、危険と分かればすぐに引く」
「……承知いたしました」
うむ、良かったのだ。どうやら、着いてきてくれるらしいのだ。
こうして、我輩、バルディスからの指示を受けながら一つの部屋へと彼らを案内するのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日は更新がいつもより遅くなってしまった……。
いや、いつもこの時間と決めているわけではありませんが、なんとなく?
ちょっと内容が気に入らなくて書き直してたら、結構時間が経ってました。
ふむぅ、何だか、タロは案内役になることが多いような?
きっと役柄でしょうね。
案内猫……わりと可愛いかも?
それでは、また!
追伸……ちょっと修正しました。
「どうしましょう。バル。あれって、国王、ですよね?」
「どうって……明らかに、標的の部屋に向かっているよな?」
「今、姫、接触、不味い」
「にゃあ(ううむ、確かに、不味いのだ)」
「にゃ? (何がいけないんです?)」
こっそりと交わされた会話から分かるように、そこには、国王であるセルバスが居た。しかも、護衛騎士を連れて、サリアーシャ姫の元へと向かっている最中らしい。
恐らく、まだ暗い時間帯ではあるものの、今現在、サリアーシャ姫の部屋の中にはミルテナ帝国の間者と思われる者が居るはずだ。今、鉢合わせてしまえば、確実にセルバスはサリアーシャ姫に刺されてしまう。
「……にゃ(……我輩が行くのだ)」
何としてでも、今、セルバスがサリアーシャ姫の部屋に入ることは阻止しなければならない。そして、その任務に適任なのは、不審者でしかないバルディス達でも、ただの猫でしかないチャーでもなく、力を持ち、油断を招くチャーミングな体を持った我輩以外に居ないであろう。
「……分かった。なら、念話で指示を出す。タロはそれに従ってくれ」
「にゃ(分かったのだ)」
「にゃー(師匠、ご武運を)」
コソコソとした相談を終えると、我輩、一気にセルバスの元へと駆け出す。
「む、猫?」
「どこから入ってきたんだ?」
飛び出した瞬間こそ体を強張らせた護衛騎士達であったが、猫だと分かると、我輩を見て訝しげにしながらも警戒することはない。
《タロ、国王をこちらに誘導してくれ。場所は指示を出す》
頭の中に響く声に、我輩、少しびっくりしたものの、『サポートシステム』やセイクリアで慣れていたため、その声がバルディスのものだと判断し、指示に従う。
「にゃー(こっちへ来てほしいのだ)」
「猫……? いや、この猫は、どこかで……?」
我輩が駆け寄ると、セルバスは我輩を見つめて考え込む。
「陛下、恐らくはどこかの飼い猫と思われますので、宿舎で預かろうと存じますが」
「あ、あぁ」
護衛騎士の一人が提案する中、我輩、ちょっとだけ思い出したのだ。このセルバスという者は、我輩を召喚した時に居た者なのだ。きっと、セルバスは我輩を見て、召喚のことを思い出したのであろうが、反応を見る限り、完全に思い出しているわけでもなさそうだった。
そうして、護衛騎士に捕まりそうになるのを、我輩、華麗に避ける。我輩の任務は、セルバスをここから離れさせることなので、引くわけにはいかない。
「にゃあ。にゃーにゃあ(ダメなのだ。捕まるわけにはいかないのだ)」
我輩、セルバスのズボンの裾に前足を引っ掛けて、どうにか誘導しようとする。
「こ、こらっ、陛下のお召し物になんてことをっ」
「よいよい。それより、どうやら、この猫はどこかに連れていきたいようだ。さすがに、サリアの部屋へ行くのは早すぎるであろうし、少し散歩がてら、着いていってみようではないか」
「ですが、陛下、もしも獣人が関与していれば危険かもしれません」
「そういう時のための護衛であろう? 何、危険と分かればすぐに引く」
「……承知いたしました」
うむ、良かったのだ。どうやら、着いてきてくれるらしいのだ。
こうして、我輩、バルディスからの指示を受けながら一つの部屋へと彼らを案内するのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日は更新がいつもより遅くなってしまった……。
いや、いつもこの時間と決めているわけではありませんが、なんとなく?
ちょっと内容が気に入らなくて書き直してたら、結構時間が経ってました。
ふむぅ、何だか、タロは案内役になることが多いような?
きっと役柄でしょうね。
案内猫……わりと可愛いかも?
それでは、また!
追伸……ちょっと修正しました。
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