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第二章 反撃のサナフ教国
第六十三話 ナージャ様の旅(二)
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ナージャが向かった場所は、あの日の、『宵闇の一日』に、バルディス達が消えた場所だった。
「ナージャ様、こちらが、解析した『転移』の座標でございます」
「そう……あらあら、バル様は随分と遠くに飛ばされたものですわね」
「はい、しかも、戻ろうにも『転移』を封じる陣がありましたので、バルディス様は戻れなかったと思われます」
膝まづき、淡々とナージャの言葉に答えるリリアンヌは、見ようによっては高慢な貴族令嬢に虐められている使用人に見えなくもない。
しかし、それを見ているものなどここには居ない。『宵闇の一日』でパーティー会場となっていたこの場所は、現在立ち入りが制限されている。それは、アーディスが使用した魔力の残滓を保存するため。それを解析し、バルディスの居場所を掴むためだった。
「分かりましたわっ。では、ここから私達も飛びましょう」
「御意」
バルディスに戻るすべがないのであれば、自分が連れ戻せば良いと考えるナージャは、自身に内在する魔力を高める。
「『転移』っ」
そう言った直後、ファルシス魔国から、ナージャとリリアンヌの姿は消えるのだった。
「あぁ、あぁ、ここに、バル様が居られるのですねっ」
感極まったようにそう告げるナージャ。
辿り着いたのは、アルトルム王国。病が終息し、ようやく活気を取り戻しつつある、明るい王国だ。
そんな国の路地裏で、ナージャとリリアンヌは二人で打ち合わせを行う。
「では、私は調べて参りますので、くれぐれも、くれぐれも、問題を起こさぬよう願います」
「えぇ、もちろんよ」
軽く受け合うナージャを、リリアンヌは不信な目で見るが、ナージャがそれを気にすることはない。
「さぁ、行ってきなさい」
「……御意」
命令には逆らえないリリアンヌは、一瞬にして自身の影の中にトプンと身を潜める。リリアンヌは、ディアムと同じく隠密部隊に所属する者だ。このくらいのことは造作もなかった。
「では、私も幻術で姿を変えなくてはね」
リリアンヌが去るのを感知すると、ナージャはフワリと微笑み、その身に幻術をかける。
「おーほほほほほほっ、やはり、幻術は最小限が良いですわね」
幻術によって変わったナージャの姿。それは…………絶世の美女であることは変わらず、ただ、綺麗に角が見えなくなっただけの人間の姿であった。
ここにリリアンヌが居れば、確実に、もっと目立たない格好を推したのであろうが、そのリリアンヌは残念なことに、すでにここには居ない。ナージャの暴走を止める者は、居ないのだ。
「おーほほほほほほっ、さぁ、行きますわよっ」
そうして、ナージャは表通りへと、波乱の予感を携えながら、悠然と歩くのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ちょっと遅い更新になりましたが、ナージャ様の旅第二段です。
とはいえ、まだあまり進んでいませんが……とりあえず、明日は波乱をお届けできるかと思います。
それでは、また!
「ナージャ様、こちらが、解析した『転移』の座標でございます」
「そう……あらあら、バル様は随分と遠くに飛ばされたものですわね」
「はい、しかも、戻ろうにも『転移』を封じる陣がありましたので、バルディス様は戻れなかったと思われます」
膝まづき、淡々とナージャの言葉に答えるリリアンヌは、見ようによっては高慢な貴族令嬢に虐められている使用人に見えなくもない。
しかし、それを見ているものなどここには居ない。『宵闇の一日』でパーティー会場となっていたこの場所は、現在立ち入りが制限されている。それは、アーディスが使用した魔力の残滓を保存するため。それを解析し、バルディスの居場所を掴むためだった。
「分かりましたわっ。では、ここから私達も飛びましょう」
「御意」
バルディスに戻るすべがないのであれば、自分が連れ戻せば良いと考えるナージャは、自身に内在する魔力を高める。
「『転移』っ」
そう言った直後、ファルシス魔国から、ナージャとリリアンヌの姿は消えるのだった。
「あぁ、あぁ、ここに、バル様が居られるのですねっ」
感極まったようにそう告げるナージャ。
辿り着いたのは、アルトルム王国。病が終息し、ようやく活気を取り戻しつつある、明るい王国だ。
そんな国の路地裏で、ナージャとリリアンヌは二人で打ち合わせを行う。
「では、私は調べて参りますので、くれぐれも、くれぐれも、問題を起こさぬよう願います」
「えぇ、もちろんよ」
軽く受け合うナージャを、リリアンヌは不信な目で見るが、ナージャがそれを気にすることはない。
「さぁ、行ってきなさい」
「……御意」
命令には逆らえないリリアンヌは、一瞬にして自身の影の中にトプンと身を潜める。リリアンヌは、ディアムと同じく隠密部隊に所属する者だ。このくらいのことは造作もなかった。
「では、私も幻術で姿を変えなくてはね」
リリアンヌが去るのを感知すると、ナージャはフワリと微笑み、その身に幻術をかける。
「おーほほほほほほっ、やはり、幻術は最小限が良いですわね」
幻術によって変わったナージャの姿。それは…………絶世の美女であることは変わらず、ただ、綺麗に角が見えなくなっただけの人間の姿であった。
ここにリリアンヌが居れば、確実に、もっと目立たない格好を推したのであろうが、そのリリアンヌは残念なことに、すでにここには居ない。ナージャの暴走を止める者は、居ないのだ。
「おーほほほほほほっ、さぁ、行きますわよっ」
そうして、ナージャは表通りへと、波乱の予感を携えながら、悠然と歩くのであった。
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ちょっと遅い更新になりましたが、ナージャ様の旅第二段です。
とはいえ、まだあまり進んでいませんが……とりあえず、明日は波乱をお届けできるかと思います。
それでは、また!
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