我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第六十六話 ジャイアントスコーピオン

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 ジャイアントスコーピオンは、砂色の巨大なサソリだ。しかし、サソリでありながら、珍しく毒を持たない。そして、夜行性ではなく、日中に行動をするサソリでもある。
 ただ、そんなことよりも更に重要なことは……ジャイアントスコーピオンの肉はとても美味であるらしいということだ。バルディスによると、海老に近いその味は、とても芳醇なのだそうで……考えるだけで涎が出る。しかも、ジャイアントスコーピオンは成体よりも幼体の方が美味であるらしく、現在討伐しようとしているのがその幼体であるため、その味には大いに期待できる。

 砂煙が舞う中、我輩、一目散にジャイアントスコーピオンの元へと突撃する。あまりの砂煙で視界は最悪だが、それでも巨大な目標えものを見失うことはない。


 ガリガリプラスッ!


 我輩、口の中がジャリジャリになるのは勘弁なので、心の中でそう叫び、魔力で伸ばした爪を、猛スピードで走るジャイアントスコーピオンの頭に飛びかかって直撃させる。

 ズプンッという音とともに、ジャイアントスコーピオンは頭を砂の中に沈め、尻尾が天空を指す。そして、その衝撃で、後続に居た二体のジャイアントスコーピオンは止まる。
 しかし、ジャイアントスコーピオンの生命力はかなりのものであったらしい。天空を指した尻尾は、その勢いのままに、我輩へと降りかかってきた。


「に゛ゃっ(危ないのだっ)」


 正確に狙ってきたそれに、我輩、少し驚きながらも避ける。その際、口の中がジャリっとしてしまったのはご愛嬌なのだ。


「タロ、そのままそこに居ろっ! 『紅蓮弾ぐれんだん』」


 ようやく我輩に追い付いたバルディスは、炎……というより、マグマの塊を大量に、我輩がダメージを与えたジャイアントスコーピオンを含めた三体へとぶつける。


「では、私の番ですね。『大滝おおだき』」


 マグマで熱され、のたうち回るジャイアントスコーピオンは、次に繰り出されたラーミアによる上空から降る大量の水によって、その巨体をぬかるんだ地面に沈める。そして……。


「『影斬えいざん』」


 もはや虫の息となっていたジャイアントスコーピオンは、ディアムの影からの無数の斬撃で、バラバラに解体されてしまうのだった。

 こうして、我輩達はジャイアントスコーピオンしょくりょうをゲットできたのだった。


「よしっ! 食材ゲット!」

「にゃあっ(お腹空いたのだっ)」

「ふふふっ、茹でたら美味しいんですよね」

「揚げる、推奨」


 せっせとバラバラになったジャイアントスコーピオンを回収する我輩達は、知らず知らずのうちに笑顔を浮かべる。ようやくありつける食事なのだ。それも無理からぬことだろう。


「あ、あのー?」

「ん?」

「にゃ? (うむ?)」

「はい?」

「?」


 そうして、今日の豪勢な食事に思いを馳せていると、ふいに知らない男の声がかかる。


「助けていただき、ありがとうございましたっ」


 ちょっとでぶっちょなその男は、我輩達が振り向くとすぐさま、その身体を縮こまらせるようにお辞儀をしてそう言ったのであった。


「「「誰?」」」
「にゃ? (誰?)」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ようやく食料を得たタロ達。

空腹はこれで紛れてくれるはず!

物騒な考えもしばらくはなくなるはずです!

ちなみに、作者はサソリを食べたことはありません。

何となく、海老っぽい味だということを聞いたことがあったもので……。

普通は食べることはないですよね。

それでは、また!
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