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第二章 反撃のサナフ教国
第七十五話 欠片の持ち主
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我輩、少し前まで不思議に思っていたことがある。それは、どうやったら、欠片の持ち主を見極められるのかということ。そのことに関して、特に何も知らされていない我輩は、不思議でならなかった。
初めてサリアーシャと会った時、それは良く分からなかった。しかし、次に会って、欠片を回収した時に、感じられたものがある。
気配だ。気配が、他の者とは違うのだ。欠片を回収した途端、その気配は感じられなくなったが、独特なものであることに変わりはない。そして、他に気配の異なる者と、我輩はすでに出会っていた。
仮面の魔族。やはり、最初に会った時には意識していなかったせいで良く分からなかったものの、二度目に出会った時、何となくサリアーシャと同じ気配をしていることに気づいていた。つまり、あの仮面の魔族も欠片の持ち主ということだ。
そして現在、我輩の前に新たな欠片の持ち主が現れていた。言わずもがな、バルディス達を捜している時に出会った男の子である。
「にゃあ(これは、調べた方が良いのであろうな)」
不幸の欠片と呼ぶべきそれを持っている気配を、目の前の子供が漂わせていることから、我輩、早急な解決が必要だと判断する。見た目は元気そうでも、何か大きなものを抱えているに違いないのだから。
「しー、静かに。騎士に見つかってしまうよ」
「にゃ? (騎士?)」
静かにと言われて、声を落とした我輩は、男の子の言葉を聞き返す。しかし、もちろんただの人間に通じるわけもない。
「マウマウが多いのに、良く生き残れたなぁ。飼い猫だろうに」
男の子はしゃがみこみ、我輩の頭を撫で撫でとしてくる。
うむ、そこそこ。気持ちいいのだ。
いつの間にか、我輩、喉を鳴らしていた。しかし、我輩、すぐに(五分くらい後)役目を思い出してハッとする。こんなところで癒されている場合ではないのだっ。
「にゃー? (とりあえず、着いていっても良いだろうか?)」
「ん、あぁ、随分長居してしまったな。気をつけて帰るんだぞ。猫」
「にゃにゃ(まぁ、通じないのは分かっているから、勝手に着いていくのだ)」
せめて、この男の子がどこに住んでいるのかくらいは知っておきたいところ。経験上、怒られるとしたら男の子が我輩を家の中にまで連れていってしまった場合のみなので、我輩、立ち去ろうとする男の子の後ろを分りやすく歩く。
ようは、家の中に入りさえしなければいいのだ。
数歩も歩かないうちに、男の子はさっと我輩の方を振り向く。そして、着いてきているのが分かったのだろう。『お前は家に帰らなきゃダメだ』と言って、また歩き出す。……ここは、粘り時なのだ。
何度も何度も振り向いて困った顔をする男の子を見て、我輩、ちょびっと申し訳ない気持ちになりながら、それでも着いていく。すると、最終的に、何かの茶色い看板を掲げている建物に、男の子は入っていった。
もちろん、我輩にはさっさとここから去るように告げてから。
「にゃにゃあ(この場所は覚えておかねばならないな)」
土地勘はなくとも、道を覚えるくらいのことは……多分、きっと、できる。万が一、忘れたとしても、この建物の看板を覚えておけば大丈夫なはずだ。
「にゃあにゃーっ(それでは、バルディス達を捜すのだっ)」
たっぷり十分ほどそこに立ち尽くして場所を覚える努力をした後、我輩は動き出す。
「にゃー(どこなのだー)」
心細さで泣きそうになりながら。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
前章に引き続き、今回もわりと早めに欠片の持ち主を見つけたタロ。
はてさて、これからどんな困難が待ち受けているのか……。
お楽しみに!
それでは、また!
初めてサリアーシャと会った時、それは良く分からなかった。しかし、次に会って、欠片を回収した時に、感じられたものがある。
気配だ。気配が、他の者とは違うのだ。欠片を回収した途端、その気配は感じられなくなったが、独特なものであることに変わりはない。そして、他に気配の異なる者と、我輩はすでに出会っていた。
仮面の魔族。やはり、最初に会った時には意識していなかったせいで良く分からなかったものの、二度目に出会った時、何となくサリアーシャと同じ気配をしていることに気づいていた。つまり、あの仮面の魔族も欠片の持ち主ということだ。
そして現在、我輩の前に新たな欠片の持ち主が現れていた。言わずもがな、バルディス達を捜している時に出会った男の子である。
「にゃあ(これは、調べた方が良いのであろうな)」
不幸の欠片と呼ぶべきそれを持っている気配を、目の前の子供が漂わせていることから、我輩、早急な解決が必要だと判断する。見た目は元気そうでも、何か大きなものを抱えているに違いないのだから。
「しー、静かに。騎士に見つかってしまうよ」
「にゃ? (騎士?)」
静かにと言われて、声を落とした我輩は、男の子の言葉を聞き返す。しかし、もちろんただの人間に通じるわけもない。
「マウマウが多いのに、良く生き残れたなぁ。飼い猫だろうに」
男の子はしゃがみこみ、我輩の頭を撫で撫でとしてくる。
うむ、そこそこ。気持ちいいのだ。
いつの間にか、我輩、喉を鳴らしていた。しかし、我輩、すぐに(五分くらい後)役目を思い出してハッとする。こんなところで癒されている場合ではないのだっ。
「にゃー? (とりあえず、着いていっても良いだろうか?)」
「ん、あぁ、随分長居してしまったな。気をつけて帰るんだぞ。猫」
「にゃにゃ(まぁ、通じないのは分かっているから、勝手に着いていくのだ)」
せめて、この男の子がどこに住んでいるのかくらいは知っておきたいところ。経験上、怒られるとしたら男の子が我輩を家の中にまで連れていってしまった場合のみなので、我輩、立ち去ろうとする男の子の後ろを分りやすく歩く。
ようは、家の中に入りさえしなければいいのだ。
数歩も歩かないうちに、男の子はさっと我輩の方を振り向く。そして、着いてきているのが分かったのだろう。『お前は家に帰らなきゃダメだ』と言って、また歩き出す。……ここは、粘り時なのだ。
何度も何度も振り向いて困った顔をする男の子を見て、我輩、ちょびっと申し訳ない気持ちになりながら、それでも着いていく。すると、最終的に、何かの茶色い看板を掲げている建物に、男の子は入っていった。
もちろん、我輩にはさっさとここから去るように告げてから。
「にゃにゃあ(この場所は覚えておかねばならないな)」
土地勘はなくとも、道を覚えるくらいのことは……多分、きっと、できる。万が一、忘れたとしても、この建物の看板を覚えておけば大丈夫なはずだ。
「にゃあにゃーっ(それでは、バルディス達を捜すのだっ)」
たっぷり十分ほどそこに立ち尽くして場所を覚える努力をした後、我輩は動き出す。
「にゃー(どこなのだー)」
心細さで泣きそうになりながら。
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前章に引き続き、今回もわりと早めに欠片の持ち主を見つけたタロ。
はてさて、これからどんな困難が待ち受けているのか……。
お楽しみに!
それでは、また!
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