我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第八十一話 リリナのバーにて(一)

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 我輩、昨日バルディス達を捜し回った道をそのまま辿っただけだったのだが、なぜかバルディス達は我輩に謝罪してきた。


 我輩が迷子になったのは、我輩自身の責任なのだが……。


 謝罪に混乱しながらも、我輩、とりあえずバルディス達について『リリナのバー』と書かれているらしい看板のかかった店へと入る。

 『リリナのバー』の扉の先。そこには、一人の老人が居るだけで、他には誰も居なかった。

 お店というものは、いつも人で溢れているイメージがあったので、我輩、拍子抜けする。


「……お客さん、まだ、営業してませんが?」


 カウンター越しに、どこか鋭いその眼光を放つ老人は、バルディス達に厳しい言葉を放つ。しかし、バルディスは動じた様子などなかった。


「あぁ、すまない。家の猫がやたらとここに入りたがってたもので、何かあるのかと」


 家の猫? 我輩のことか?


 バルディスがそう言えば、老人のその目は、鋭い目付きという段階から殺気の籠った物騒な目付きへとグレードアップを果たす。それは、別に我輩にまで向けられているわけではないものの、心地良いものでもない。
 そして、そんな老人の対応に、バルディスは困ったようにラーミアとディアムへ視線を送り、ディアムから何かの紙を見せられていた。


 ふうむ、ここは、我輩が道化を演じるべきか?


 紙を見せられた直後、少しだけピリピリとし始めたバルディスを見て、我輩、そう愚考する。


「にゃー(我輩、道化を演じるのだ)」

「? タロ?」


 バルディスの呼び掛けの直後、我輩、素早く動き出す。とりあえず、この中を走り回って、あの男の子の居場所を捜すことにする。前に使用したことのある、『探知サーチ』を使って。


「にゃ。にゃー(サポートシステムよ。『探知サーチ』を使いたいのだ)」

「お、おいっ、タロっ!」

「お客さんっ、困りますっ」


 我輩を捕まえようとするバルディス達と老人から逃げながら、我輩、サポートシステムに声をかける。


《 『サポートシステム』起動します。これより、風の魔法による『探知サーチ』を行います。サポートは必要ですか?

はい/いいえ 》


 我輩やバルディス達を止めようとして、つまずき、転んだ老人を横目に、我輩、走り回る。


「にゃっ。(『はい』なのだっ)」


 棚の上まで飛び上がり、それを捕まえようとした老人の手をヒョイとかわし、そのツルツルと滑りそうな頭を踏んで地面に降りた我輩は、捕まえようとしているふりを頑張ってしてくれているバルディス達からも逃れる。


《これより、風の魔法、『探知サーチ』を行います。対象名不明。魔力反応から検出。開始…………完了。情報を送信します》


 そうして、頭の中に直接送られて来た情報に、我輩、すぐさまその場所に向けて走り出す。男の子は、地下に居るらしかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


もうちょっとでご対面。

ですが、とりあえず今日は引き延ばします。

老人はわりと大変な目にあっていますが、とりあえずここまでです。

明日、続きを読んでくださいね。

それでは、また!
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