我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第九十三話 レジスタンスの現状

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 リリナの正体が明らかになった直後、俺達は真剣な顔でレジスタンスの現状を聞いていた。


「さすがに戦力がなさすぎないか?」

「だが、これで精一杯だ。むしろ、あの状況下でここまで集められたのは隊長が居てこそなんだ」


 レジスタンスでの主だったメンバーは、ここにいるロッダ、ノルディ、リリナの三人以外では、ハーグ、ジルクという名の隊長と副隊長らしい。その二人に関しては、現在また別の場所で部隊を連れて待機しているという。
 部隊は全部で約二百人。ミルテナ帝国相手にクーデターを起こすには、あまりにも心許ない人数だ。

 俺は、これからどう動いたものかと考えながら、情報提示を行っておくことにする。


「一応、確認してくれ。これは、ミルテナの騎士がレジスタンスのアジト候補として挙げている場所だ」


 さすがにその二人が居る場所までは教えてもらえなかったため、俺はあのミルテナ帝国の騎士達が詰めていた場所から得た地図を取り出し、テーブルに広げる。


「こんなものどこでっ! ……いや、不味いわね。これは……まさか、内通者でも居るんじゃ……」


 最初はその地図の存在そのものに驚いた様子を見せていたリリナだったが、地図を確認するにつれ、その顔を強ばらせる。しかも、小声ながら『内通者』などという物騒な言葉まで聞こえてきた。内通者に関しては、俺達は全く関知し得ないことではあるものの、そう言うということは、この印をつけられている場所のどこかが、本当にハーグやジルクの隠れ家になっているのだろう。


「この地図の信憑性はいかほどのものなのかの?」

「ディアムが騎士達の詰めている場所へ忍び込んで調べたものだ。調べてから時間もまだほとんど経っていない。それなりの信憑性はあると思うぞ」


 そう言えば、ノルディは真剣に地図を読み込む。


「そういえば、聞いていませんでしたが、ロッダは何者ですか? ノルディやリリナはレジスタンスの構成員ということでも納得できますが、ロッダは構成員というには幼すぎますわ」

「あぁ、言ってなかったわね。ロッダは、サナフ教国教皇の息子よ」

「教皇の息子、だと?」


 ラーミアが発したものと同じ疑問は抱いていたものの、まさか教皇の息子だとは思わなかった。てっきり、教皇一家はミルテナ帝国に攻め入られた際に殺されたものだと思っていたのだ。しかし、それなら確かに、旗頭としてロッダの存在は申し分ない。


「僕は……」


 ただ、ロッダの表情は優れない。もっとミルテナ帝国に恨みを抱いているものだと思ってみれば、そうでもなさそうだった。


「さぁ、ひとまずはこれからのことを決めるわよ。夜になれば、行動できるんでしょう?」

「そうだの。夜になれば、そちらの仲間が助けてくれたというワシらの仲間の救出ができる。後は、できるだけ早く、この地図にある場所以外を確保して、ハーグ達を連れ出さねばならぬの」


 『どこか心当たりはないか』と聞かれはしたものの、俺達はこの国に来たばかりだ。土地勘も何もない中では、首を横に振るしかない。

 ハーグ達のことはひとまず場所を確保できるまで保留とし、今夜に向けての迎えに行く人員構成についての話を終える頃には、迎えに行くのにちょうど良さそうな時間になっていた。


「なら、迎えに行くのはバルディスとリリナ、後は、向こうで燻っている奴らの中から体力のある男二人で良いな」


 ノルディの確認の言葉に俺とリリナはうなずく。


「あぁ、充分だ。むしろ、俺一人でも問題なさそうだがな」

「それはダメよ。まだ、あんた達のことは信用できてないんだから」

「分かってる。だから、その人数で承知したんだ」


 本当なら、俺一人で迎えに行く方が楽ではあるが、仕方ない。
 今、考えるべきは、タロのことをどう説明するかということくらいだろう。

 そうこうしている内に、タロから念話が入り、これから出発することを伝える。タロは食料調達をすると言っていたが、きっと怪我人の安全くらいは考えてくれているだろう。


「っと、忘れるところだった。何か、俺の仲間に食べさせてやれる美味いものってないか?」


 タロのために忘れてはならない事柄を思い出した俺は、そう告げて、タロのご褒美を探すのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


これで一旦バルディス視点はしばらくなし……になるはず?

次からはタロ視点で話を進めていきますね。

タロはささみをゲットできたのでしょうか(笑)

それでは、また!
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