我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第百六話 我輩の散歩(一)

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 結局、明日、リリナとセイクリア教国へ同行するのはラーミアで決定した。
 我輩はこのドームや『幻術』の維持のためにあまり離れられないという事情で同行できず、バルディスは我輩の通訳として、何よりバルディス本人が行きたがらなかったこともあり、やはり着いていくことはなかった。また、ディアムに関しては、これからもミルテナ帝国の騎士から情報を盗むために必要ということで、ここに留まることとなる。そうした諸々を勘案すると、ラーミアが適任ということになったのだ。

 その後、いくつかの話し合いは行われたものの、重要な決定といえばリリナとラーミアがセイクリア教国とやらへ行くことになったことくらいだろう。


「にゃー? にゃにゃ(話は終わったのだな? では、我輩、散歩に行ってくるのだ)」

「あぁ」


 我輩、話し合いが終わったことを知るや否や、立ち上がってクルリと身を翻す。そして……。


「にゃにゃ(サナフの町へ『転移』なのだ)」

「はっ? ちょっ、待て、タロ!」


 『転移』を何度もしてコツを掴んだ我輩は、サポートシステムのサポートなしに『転移』を実行する。その際、何やらバルディスの引き留める声が聞こえたような気がしたが、我輩、それは知らんぷりなのだ。我輩、いい加減、散歩がしたいのだ。


「にゃ……あ? (ふむ、成功なの……だ?)」


 転移は成功した。ここは、おそらくどこかの路地裏だ。しかし、我輩、足下に感じる軟らかい何かに、疑問を抱き、下を見る。


「ヂ、ヂューッ」

「にゃあ(なんだ、マウマウであったか)」


 我輩の足下には、少し毛色の違うマウマウが居た。アルトルムで良く見かけたマウマウはねずみ色だったが、このマウマウは砂色だ。


「ヂューッ」

「「「ヂヂューッ!」」」


 足下のマウマウが叫ぶと、物陰から大量のマウマウが湧いて出る。


「にゃーっ、にゃあっ(フハハハハッ、これは腕が鳴るのだっ)」

「「「ヂューッ」」」


 楽しい楽しいマウマウ退治に、我輩、笑いながら戦いに身を投じる。まずは、この足下に居るマウマウから降りるとしよう。


「にゃふんっ(とうっ)」

「ヂュッ!?」


 飛び降りた瞬間、パキッという音とかなり切羽詰まったマウマウの声が……。


 ……いや、ワガハイ、ナニモ、キイテイナイ。


 けっして、我輩の体重のせいでマウマウが骨を折ったとか、そういったことはないはずだ。現にマウマウはピンピン…………していなかった。我輩に潰されていたマウマウは、ピクピクと痙攣し、やがて、動かなくなる。


 ワガハイ、ナニモ、ミテイナイ。


 そう思い直し、我輩、他のマウマウに向き直る。とりあえずは、そう、楽しむべきなのだ。


「にゃおーんっ! (猫流奥義、ガリガリっ!)」

「ヂュッ」

「にゃおーんっ! (猫流奥義、ガリガリプラスっ!)」

「「ヂュゥン!」」


 楽しく楽しく……ちょっとばかり自分の心を誤魔化しながら戦っていると、マウマウはどんどん湧いてくる。


 これは、遊びに困ることはなさそうなのだ。


 砂色のマウマウに混じって、ねずみ色のマウマウも襲ってきたが、我輩、全ての攻撃を華麗にかわして戦い続ける。そうして、マウマウの山を二つほど積み上げたところで、援軍はなくなったらしく、マウマウ達は逃げ腰になる。


「にゃーっ。にゃあっ(結界で逃がさないのだっ。さぁ、かかってくるが良いのだっ)」


 我輩は、結界を上手く用いてマウマウを閉じ込めると、逃げ場を失ったマウマウを次々にほふっていく。けっして、我輩の体重でマウマウが潰れた事実を隠蔽しようとしているわけではない。

 そうして、マウマウの山が三つ目を更新したところで、我輩は、ようやく戦いを終えるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


最近、マウマウとの戦いを書いてないなぁと思い、更新。

元々予定もしていましたしね。

さて、タロの散歩はまだまだ続きます。

具体的には、このサナフでも猫仲間を出したいっ。

と、いうわけで、暖かく見守ってください。

それでは、また!
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