我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第百十六話 拘束

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 ううむ、どうしてこうなったのだ?


 我輩、狭い檻の中で黒い、妙な首輪を着けながら唸る。目の前には意識を失ったリリナが、これまた牢屋で鎖に繋がれている。そんな状況で思い出すのは、かれこれ十分ほど前のことだった。


「にゃっ(人間が多いのだっ)」


 我輩、多くの人間が出入りするその場所に、中々入れないでいた。


 我輩、これでも猫なのだ。踏まれるのは嫌なのだ。


 あまりにも激しい出入りに、我輩、あの中に行ったら確実に蹴り飛ばされる未来しか見えなかった。そのため、我輩、どこかに通気孔がないかと探し始める。


「にゃーにゃー……にゃっ! (ここにもない、あそこにもない……あっ、あったのだっ!)」


 見つけたのは、柵が取り付けられた通気孔。かなりの高さの場所にあるが、今ならきっと、我輩の華麗なジャンプならば届くはずだ。柵に関しては、『悪食』でなくしてしまえば良い。

 そうと決めれば、行動あるのみ。我輩、『悪食』で柵を取り外すと、華麗なジャンプを決めて、狙った場所へと飛び込む。……が、しかし。


「ふにゃっ!? (うぐっ!?)」


 何と、我輩のチャーミングな体が、通気孔に挟まったのだ。


「……にゃー(……最近のささみが悪かったとは思わないのだ)」


 最近、ことあるごとにキングコッコーの肉を自分で出して食べていたのが災いした、という考えだけは、容認できなかった。


「にゃ……にゃあっ(ここは『悪食』で……いやいや、自分でも脱出できることを証明せねばっ)」


 一瞬、『悪食』で穴を広げることも考えたが、それでは、我輩が太っていることを認めるようなもの。ここは、何としても我輩が自力で脱出すべき場面だ。


「にゃ、にゃあっ(ふんぬっ、ふんぬぅっ)」


 壁に前足をついて体を押し出すようにすれば、ズリズリと我輩の体は動いてくれる。


 うむ、あともうちょっとなのだ。


 しかし、その努力はある人物の登場で無に帰す。


「げっ」

「にゃ? (む?)」


 そこには、黒い甲冑を纏った、あの時の騎士が居た。


 不味いのだっ!


 我輩、すぐに今の状況が非常に良くないことに気づき、慌てて『悪食』を使ってそこから脱出しようとする。しかし、行動は甲冑の騎士の方が早かった。


「眠れっ『眠りの霧』っ」


 穴からは出られた。しかし、我輩、その直後に睡魔が襲いかかってくるのを自覚し、フラフラとする。


「チッ、一回じゃ足りないか。『眠りの霧』っ」


 そして、もう一度その声を聞いた直後、我輩の意識は落ちていき、次に目を覚ますと、冒頭のようになっていたわけだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


何やらデジャブを感じる穴に詰まる事件と、まさかのタロまで捕まる事態。

はてさて、ここからどうしたものか……(プロットはちゃんと作ってますよっ)

次回をお楽しみにっ。

それでは、また!
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