我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第百十九話 脱出

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「にゃにゃ? (さて、どうするべきか?)」


 一応、何が起こって我輩が牢屋の中に居るのかを理解した我輩は、次の行動を考える。これは、『すぱいすえいが』……いや、『すぱいえいが』であったかもしれないが、とにかく飼い主が見ていたそれと状況が似ているのだ。この後、大抵誰かがやって来て、『情報を吐け』と罵声を浴びせるものなのだ。

 ただ、そんな中でも、少し離れた場所にリリナが居るのは嬉しい。我輩、ちゃんとリリナを見つけられたのだ。これで、後は、誰が何の目的で我輩達を拐ったのかを突き止めれば、きっとバルディスも褒めてくれるのだ。

 そう考えると、我輩、状況把握のためにも、その誰かを待つべきかもしれないと思う。とりあえず、首につけられた妙な首輪をどうにかして、ささみでも食べながら待てば良いのかもしれない。


「にゃ……にゃおーんっ! (そうと決まれば……猫流奥義、もっふんっ!)」


 そう言って、我輩、首に肉をブオッと集中させ…………バキッという音とともに落ちた黒い金属製の首輪をチラリと見る。


「……にゃ? (……う、む?)」


 我輩、今までに飼い主から首輪をつけられる度に、この技で首輪をパチンッと弾いてきた。そう、あくまでも、その時の音は『パチンッ』なのだ。それが、今回は『バキッ』。


 ……我輩、もしかしなくても、太ったかもしれないのだ。


 肉が多くなったことで、強力な首輪を弾けるようになったと考えれば、つじつまがあう。


「に、にゃあ(ダ、ダイエットなのだ)」


 これはもう、ダイエットせねばなるまい。ささみを食べようと思っていた我輩であったが、予定を急遽変更する。これ以上太るのは勘弁なのだ。

 そうして、我輩、大人しく待つ。……待つ。…………待つ。………………誰も、来ない。


「にゃー(もう飽きたのだ)」


 何もせずに待つのは退屈だ。ここには遊び相手も話し相手も居ない。リリナは未だに眠っているし、どこかで物音くらいはしてもそれが近づいてくる様子はない。


「にゃっ。にゃあにゃっ(そうだっ。バルディスのところに戻って、しばらくしたらまたここに来れば良いのだっ)」


 首輪の残骸をチョコチョコといじっていた我輩は、ようやく、良さそうな案を見出だす。


「にゃにゃ(リリナも連れて帰れば、きっと大丈夫なのだ)」


 決まってしまえば後は簡単だった。力ずくで牢屋を破壊し、リリナを縛っている鎖は『ガリガリプラス』で切断し、転移を発動させる。場所はもちろん、ルーグ砂漠だ。

 そうして全てを終えた後に、我輩、バルディスに連絡を入れていなかったことを思い出す。


《にゃあ(リリナを見つけて脱出したのだ)》


 我輩、頑張ったのだ。


 そうして報告をすると、リリナの目覚める気配がしたのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


おかしい。

普通、首に肉を移動させるなんて技術、猫にはないはず……。

そう思ったあなた。

ここは、『タロだから』という魔法の言葉で納得しましょう(←おいっ)

首輪を壊すなんて無理だろとかいう疑問も同じくですっ。

もしくは、『ファンタジーだから……』という便利な言葉で納得するも良しです(笑)

それでは、また!
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