我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第百二十二話 互いの事情(二)

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 俺が話終える頃になると、リリナも動けるようになっていた。しかし、体を起こし、その場に座り込むリリナは浮かない表情だ。


「それで、リリナ。良ければ何があったか教えてくれるか?」


 タロにももう少し詳しい話を聞きたいところではあったが、何か知っていそうなリリナの方が今は優先だ。


「……その前に、約束、してくれねぇか? ロッダには、この話を伝えないと」


 暗い表情で、しかし、ギラギラとした覚悟を湛えた目でにらむリリナに、俺達は互いの意思を視線を交わすことで確認し、うなずく。


「良いだろう。俺達は、ロッダにお前から聞いた話はしない」


 そう言えば、リリナは安心したように肩の力を抜き、口を開く。


「俺は、ジルクが、裏切っている場面に出くわしたんだ」


 静かに語られるのは、ジルクがアジトの情報を何者かに流していたということ。そして、それを聞いてしまったリリナは、逃げ出そうとしたものの、捕まってしまったということ。そして……。


「ロッダは、基本的に俺以外を信用してねぇ。それは、このレジスタンスに入った時から、この中にロッダにとっての敵がいることを知っていたからだ」


 リリナは、ロッダの育ての親のことまで話し始めた。正直、それをなぜ俺達に話すのかは分からなかったが、信頼はされているのだろう。

 育ての親の不審な死。タイミングが良すぎたレジスタンスの立ち上げと勧誘。レジスタンスとは名ばかりの、権力への媚が蔓延する環境。
 その全てが、育ての親の死に誰かの思惑があるのではないかという疑念に繋がった。


「なるほど。つまり、リリナはジルクがロッダの育ての親の仇である可能性を考えて、口止めをしたんだな」

「そうだ」

「俺達が裏切っているとは考えないのか?」

「俺も、こんなことがなければ話さなかっただろうさ。けどな、俺が居なくなったら、ロッダは本当に一人だ。誰も信用できないあいつは、誰にも助けを求められない。だから、この国に無関係だと思われるあんた達に聞いてもらいたかったんだ」

「……そうか」


 リリナの信頼が重い。しかし、ここはその信頼に応えるべく踏ん張るところだろう。


「分かった。できる限り、力を貸そう」

「あぁ、ありがとうな」


 ようやく笑顔を見せるリリナ。その顔は、憑き物が落ちたかのような晴々としたものだったが、俺達は慈善事業をやっているわけではない。当然、見返りの要求はさせてもらう。


「ただし、俺達の目的にも協力してほしい」

「……内容は?」


 緊張した面持ちで聞き返すリリナに、俺は、『本当に言うつもりですか?』と問いかけるような視線を送るラーミアにうなずいて応える。


「俺達は、とんでもない冤罪をかけられてる。それを晴らすために、説得する役目を担ってもらいたい」


 そう言いながら、俺は、頭に巻いているターバンを外すのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


うーん、タイトルが思い浮かばずに、とりあえず『リリナ』としているものの…………ちょっと変えるべきかもしれませんね。

何か別の案が出てきたら、そのタイトルに変えます。

それでは、また!
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