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第二章 反撃のサナフ教国
第百三十八話 小さな会合
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「……む? ここは……わしはいったい……?」
「目が覚めたか。ノルディ。具合はどうだ?」
「む、バルディス殿? ふむ、少し頭が痛いような気がするの。いったい何があったのかの?」
ゆっくり身を起こしたノルディを前に、俺はどう説明したものかと悩む。できることなら、タロに頭突きされたことを忘れていてもらえると助かるなと思いつつ、ひとまずはどこまで覚えているのか聞くことにする。
「どこまで覚えている?」
「ふむ、そうだの。確か落とし穴が成功してハーグがやってきて……むぅ、その後のことが思い出せんの」
今、ここにロッダは居ない。可哀想なことに、ファーストキスをノルディに奪われるという事故を経験し、すっかりショックを受けてしまったらしい。今は、俺達のドームの方で寝込んでしまっている。
しかし、ノルディの言葉を聞く限り、ロッダがこれ以上のダメージを受ける心配はなさそうだと思えた。また抱き締められでもしたら、それこそロッダは昏倒しかねない。その危機が過ぎ去っただけでも、良しとしなくては。
「あぁ、その後、こちらに攻撃を加えそうになったハーグを拘束したんだが、その際にハーグが投げたものが運悪くノルディに当たってな。そのまま気絶していたんだよ」
「ほう、そうであったか。そう言われれば、そんな気もしてくるの」
さらっと嘘を告げると、ノルディはそれを疑うことなく簡単に信じ込む。そして、キョロキョロと辺りを見回したかと思えば、ノルディはまた口を開く。
「ところで、ロッダ様はどこかの? ちゃんと無事であろうの?」
「あぁ、無事だ。ロッダは俺達の方のドームで休んでいる」
『無事』というには、あまりにもロッダが受けた精神的ダメージは大きいように思えたが、ここで躊躇えばノルディはすぐさま追及してくるだろうと、俺はサラリと告げる。
「あぁ、後、ハーグに関してなんだが、それなりに情報を吐いてもらった。詳しくは全員が揃ってからにしようと思うが、一つだけ……マリーという女性を追い詰めたのは、ハーグの仕業だったようだ」
そう言えば、ノルディはスゥッと目を細め、剣呑な表情になる。
「それを、ロッダ様は?」
「まだ教えてない。今は、疲れてるだろうからな」
『色々な意味で』という言葉を心の中でつけ足しつつ、ノルディの出方を窺う。
「ふうむ……リリナが居ないのが心配ではあるが、隠せることではないの。その件に関しては、明日にでもロッダ様にお伝えしよう」
「そうか。分かった。それで、ノルディは今、歩けそうか?」
「ふむ、頭が痛いだけだから、大丈夫だの。ロッダ様はもうお休みか?」
「あぁ。タロを抱き締めて眠ってたはずだ。行ってみるか?」
本当は、ノルディを目の前にしてロッダがどうなるか分からないため、できることならじっとしていてもらいたい。眠っているはずといえど、何がきっかけで起きるか分からないのだから、それも当然だろう。
「いや、止めておこう。ロッダ様を起こすのも偲びないでの。それより、ジルクを呼んでもらいたい」
「分かった。今は外で警戒に当たっていたはずだ。すぐに呼んでくる」
そうして、俺はジルクを呼ぶべく、その場を離れた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ノルディが覚えていないのは、ロッダにとって、きっと唯一の救いですねっ。
ロッダは今晩、悪夢にうなされるかもしれませんが……。
それでは、また!
「目が覚めたか。ノルディ。具合はどうだ?」
「む、バルディス殿? ふむ、少し頭が痛いような気がするの。いったい何があったのかの?」
ゆっくり身を起こしたノルディを前に、俺はどう説明したものかと悩む。できることなら、タロに頭突きされたことを忘れていてもらえると助かるなと思いつつ、ひとまずはどこまで覚えているのか聞くことにする。
「どこまで覚えている?」
「ふむ、そうだの。確か落とし穴が成功してハーグがやってきて……むぅ、その後のことが思い出せんの」
今、ここにロッダは居ない。可哀想なことに、ファーストキスをノルディに奪われるという事故を経験し、すっかりショックを受けてしまったらしい。今は、俺達のドームの方で寝込んでしまっている。
しかし、ノルディの言葉を聞く限り、ロッダがこれ以上のダメージを受ける心配はなさそうだと思えた。また抱き締められでもしたら、それこそロッダは昏倒しかねない。その危機が過ぎ去っただけでも、良しとしなくては。
「あぁ、その後、こちらに攻撃を加えそうになったハーグを拘束したんだが、その際にハーグが投げたものが運悪くノルディに当たってな。そのまま気絶していたんだよ」
「ほう、そうであったか。そう言われれば、そんな気もしてくるの」
さらっと嘘を告げると、ノルディはそれを疑うことなく簡単に信じ込む。そして、キョロキョロと辺りを見回したかと思えば、ノルディはまた口を開く。
「ところで、ロッダ様はどこかの? ちゃんと無事であろうの?」
「あぁ、無事だ。ロッダは俺達の方のドームで休んでいる」
『無事』というには、あまりにもロッダが受けた精神的ダメージは大きいように思えたが、ここで躊躇えばノルディはすぐさま追及してくるだろうと、俺はサラリと告げる。
「あぁ、後、ハーグに関してなんだが、それなりに情報を吐いてもらった。詳しくは全員が揃ってからにしようと思うが、一つだけ……マリーという女性を追い詰めたのは、ハーグの仕業だったようだ」
そう言えば、ノルディはスゥッと目を細め、剣呑な表情になる。
「それを、ロッダ様は?」
「まだ教えてない。今は、疲れてるだろうからな」
『色々な意味で』という言葉を心の中でつけ足しつつ、ノルディの出方を窺う。
「ふうむ……リリナが居ないのが心配ではあるが、隠せることではないの。その件に関しては、明日にでもロッダ様にお伝えしよう」
「そうか。分かった。それで、ノルディは今、歩けそうか?」
「ふむ、頭が痛いだけだから、大丈夫だの。ロッダ様はもうお休みか?」
「あぁ。タロを抱き締めて眠ってたはずだ。行ってみるか?」
本当は、ノルディを目の前にしてロッダがどうなるか分からないため、できることならじっとしていてもらいたい。眠っているはずといえど、何がきっかけで起きるか分からないのだから、それも当然だろう。
「いや、止めておこう。ロッダ様を起こすのも偲びないでの。それより、ジルクを呼んでもらいたい」
「分かった。今は外で警戒に当たっていたはずだ。すぐに呼んでくる」
そうして、俺はジルクを呼ぶべく、その場を離れた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ノルディが覚えていないのは、ロッダにとって、きっと唯一の救いですねっ。
ロッダは今晩、悪夢にうなされるかもしれませんが……。
それでは、また!
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