我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第百五十六話 クーデター当日(三)

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 タロを置いてロッダ達の元へ向かうと、そのドームの外には鎧を着た大人数の聖騎士達が待機していた。


「壮観だな」

「そうですね」


 そう言いながらも、俺達はドームの中へと入る。どうやら聖騎士からは、隊長とその他数名が話し合いに参加しているらしかった。


「二人を連れてきましたよ」

「おぉ、ご苦労だの」


 ドームに入れば、ノルディとロッダはもちろんのこと、聖騎士の隊長らしき人物の他に、護衛のように立つ聖騎士が二人居た。そして、鎧のせいか、面積としてはそこまで狭くないはずのドームが狭く感じられる。


「そちらが?」

「あぁ、信頼できる相手だ」


 口を開いた聖騎士の隊長は、意外にも甲高い声をしていて、女性であることが伺える。ロッダはその隊長に動じることなく、俺達がむず痒くなるような紹介をすると、席に座るよう促してきた。


「俺はバルディス。こっちはディアムだ」

「私は聖騎士第八番隊隊長、ヤオです。本日は、アルトルム王国からの要請により参りました」


 『アルトルム王国からの要請』という言葉に、ロッダやノルディ達は怪訝な表情を浮かべる。しかし、俺達の方には心当たりがあった。


「なるほど、デイブが伝えてくれたか」

「バルディス殿? そのデイブというのは?」


 代表して質問してきたノルディに、俺はこの国に来る途中にデイブと出会ったことと、アルトルム王国に国の現状を伝えてもらえるように要請していたことを話す。


「では、リリナ達は……」

「今ごろは、事態を知って引き返してるかもな」


 結局のところ、リリナ達を送り出す必要はなかったのかもしれないが、それは結果論だ。多少のすれ違いは仕方ない。


「我々は聖騎士の中でも魔法を得意とした精鋭部隊です。サナフ教国奪還のため、協力は惜しみません」

「対価はなんだ?」

「セイクリア教国との貿易の再開、及び、いくつかの条約締結です。資料はこちらに」


 ヤオは手際良く話を進め、背後に待機していた護衛らしき聖騎士から書類を受け取り、提示する。それをロッダはノルディとともにじっと読み込み……なぜか俺達にも見せてくる。


「良いのか?」

「あぁ、意見を聞きたい」


 一応は部外者なんだがな、と思いつつも、俺は書類を受け取る。本来は俺達が見るべきではない書類。いかに信頼の証だとされても、ファルシス魔国の魔王たる俺が見るわけにはいかない。しかし……。


 今の俺は、ただのレジスタンスの一員だ。


 今だけは、ファルシス魔国の魔王ではなく、ただ、レジスタンスの一員として、ロッダの友としてありたかった。だから、俺はこの内容を胸の内に留めることを決断しながら、内容を読み進める。


「ふむ、なら、少し確認をさせてもらうぞ」

「はい」


 ファルシス魔国の魔王として、この手の外交にはそれなりに携わってきている。不利な条件はそのまま受け入れるのではなく、ある程度の交渉が必要だ。そうして、俺達は、ノルディ達と一緒に交渉を進め、肝心のクーデターの作戦についても話し合うのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


インフルエンザは、とりあえずもう感染の心配はなくなりました!

……まだ咳が残っていて辛いですが……。

多分、毎日の更新はできそうですっ。

それでは、また!
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