我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第百六十六話 セイクリアの町(二)

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 にゃあにゃあと楽しく話をしながらボスのところへと向かう我輩は、ふと、マウマウの姿が見えないことに気がつく。いつもならば、これだけの距離を歩いていれば、数十匹見かけていてもおかしくはないのだが、奴等の姿は見当たらない。


「にゃーにゃ? (ブチ、ここら辺にはマウマウは居ないのであろうか?)」


 だから、我輩、必然的にこの町を良く知っているであろうブチに情報を求める。


「ふにゃ……(マウマウ……)」


 ブチは、マウマウという言葉に立ち止まり、全身を震わせたが、すぐにまた歩き出す。


「ふにゃあ(マウマウはこの町にはほとんど居ないよ)」

「にゃあっ。にゃにゃ(そうなのであるかっ。それでは、ここは、同胞達にとって安心できる場所なのだな)」


 マウマウがほとんど居ない町というのは、我輩の同胞達にとってとても過ごしやすい町ということだ。我輩、遊び道具がないのは残念ではあったが、それ以上に同胞達が怯えずにすむ環境が整っていることに喜ぶ。しかし……。


「ふにゃにゃ。ふにゃあ(いや、ほとんど居ないってだけであって、全く居ないわけじゃないんだ。前にもマウマウに襲われた奴が居たしな)」

「にゃにゃあ(むっ、ならば、我輩が退治してくれるのだ)」


 辛そうに話すブチを見て、我輩、当然のことを言ったのだが、そう言えばブチは細い目をかっと見開く。


「ふにゃっ。ふにゃーっ(ダメだダメだっ。そんなことしたら、タロが死んでしまうだろっ)」

「にゃあ。にゃ(おぉ、心配してくれるのだな。しかし、大丈夫なのだ)」

「ふにゃっ(大丈夫なわけないだろっ)」

「にゃ。にゃあ(大丈夫なのだ。これでも我輩、たくさんマウマウを倒してきたのだ)」


 アルトルムでも、サナフでも、我輩、マウマウを倒してきた。そうして、少しでも同胞達が過ごしやすくなると良いと思ってきたのだ。


「ふにゃーっ(そんな嘘には騙されないぞっ)」

「にゃ……(嘘ではないのだが……)」

「ふにゃあ? (あんまり言うようなら、案内しないぞ?)」

「にゃ。にゃあにゃ(それは困るのだ。もう言わないから、案内はしてほしいのだ)」


 別に信じてもらう必要はない。それよりも、ボスのところへ案内してもらう方が大切だ。そう思って、我輩、すぐに言葉を引っ込める。


「ふにゃ(ふん、分かればいいんだよ)」


 しかし、そう言ったブチの表情は晴れず、暗いままであった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ボス猫の元にまで、辿り着けませんでした。

ブチはちょい役のはずだったのが、なぜか存在感が増してます。

うーん、プロットをちょっと考えるべきかもしれません。

それでは、また!
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