我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第百七十三話 タロの捜索(三)

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 緑に茶色の斑点模様があるデブ猫の導くままに着いていくと、そこは猫のパラダイスだった。


「にゃー? (人間?)」

「にゃあ? (どうして人間が?)」

「にゃっ(ブチが連れてきたみたいだぞっ)」


 俺の姿を見て騒ぎ出す猫達。しかし、その騒ぎは緑、赤、黄色の三色の毛を持つ猫の一言によって収まる。


「なーおっ(静まれっ)」


 ゴミ箱の上から響いた声に、ピタリと会話が止み、しん、と静まり返るその場所。恐らくは、猫の集会所であろうその場所で、三色の毛を持つ猫は、別格らしかった。


「なー。なーぉ? (ブチ。どうして人間を連れてきた?)」


 三色の毛の猫が問いかけると、俺を案内してくれていたデブ猫が答える。


「ふにゃにゃ。ふにゃあ(タロが行方不明で、こいつが捜してるらしいから連れてきた。こいつはタロの仲間らしい)」


 そう紹介されて、訂正することもなかったため静観していると、三色の毛の猫がヒョイっとゴミ箱から飛び降り、こちらへと向かってくる。そして、スンスンと匂いを嗅いだかと思えば……。


「なー。なぉ(確かに、間違ってなさそうだ。タロの匂いがする)」

「お前もタロを知ってるのか?」


 どうやら、タロは少し目を離した間にいくらかの猫と知り合いになっていたらしい。


「なー。なー(俺だけじゃない。ここに居るほとんどがタロを知ってる)」

「はっ?」


 二匹の知り合いができて良かったなと思っていると、タロの知り合いは二匹だけじゃないことが判明する。


「ここに居るほとんど?」


 グルリと見てみると、そこは至るところに猫、猫、猫、猫。ざっと三十匹近くは居るだろうか。それだけの数の猫が、タロを知っていると言われ、俺は心の中で、『タロ、何をしたんだ?』と問いかける。


「なぉ。なーぉ(珍しいな。言葉が分かる人間か)」


 タロが何をしてこれだけの数の猫と知り合いになれたのかは知らないが、今は情報収集が先だと思い直す。


「あぁ、ちょっと特殊でな。それよりも、タロの居場所に心当たりはないか?」

「なー。なぉーん(ふむ。皆、こいつに情報を提供してやれ)」


 そう言った直後、他の猫達がにゃーにゃーと騒ぎ出す。


「にゃー? (タロってあの?)」

「にゃあっ(ボスに認められたっ)」

「にゃっ(ボスを辞退したっ)」

「「「にゃー(あぁ~)」」」

「にゃあ? (タロの居場所?)」

「にゃ(宿屋の前で寝てたぞ)」

「にゃーにゃ(いや、その後、くっさい奴等に連れられてた)」

「にゃー(そいつ知ってるー)」

「にゃにゃ! (アジト、廃墟!)」

「ふにゃん(そこなら俺も知ってるな)」


 そうして、断片的な情報で、俺はタロが何者かに連れ去られ、猫達に『廃墟』と呼ばれる場所に居る可能性が高いことを知る。


「ふにゃあ(そこなら、案内してやる)」


 そして、集まった情報に、デブ猫、ブチが案内を買って出てくれる。


「分かった。頼む」


 そうして、うなずくと、次の瞬間、ズシーンという地響きがした。


「にゃーっ(にゃんだにゃんだっ)」

「にゃっ(地面が動いたぞっ)」


 途端に慌てる猫達。ただ、そんな中、俺だけは嫌な予感がしていた。


「ブチ、廃墟はどっちの方角だ?」


 そう聞くと、先程の地響きの音源となっていそうな方向をブチは前足で指し示す。俺は、急いでタロを回収・・することを決意した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


はなからタロのせいだと決めつけられる理不尽(笑)

さぁ、タロ、一言どうぞっ!

「うにゃあっ(理不尽なのだーっ)」

と、いうわけで、次回はタロが何をやらかしたのかを書いていこうと思います。

それでは、また!
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