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第三章 セイクリア教国の歪み
第百七十二話 タロの捜索(二)
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タロの捜索は、本当に難航した。なぜなら、目撃情報が出てこなかったからだ。
タロの外見は、太っていることだけではなく、服を着ているという点でも目立つ。にも拘わらず、目撃情報が一つもない。タロ捜しに繰り出すのが遅かったせいというのもあるのだろうが、それでも情報があまりにもないことは、精神的に負担だ。ラーミアも捜さなければならないというのに、タロまで行方知れずなど、冗談ではない。
「タロー、居ないかー?」
一先ずは、ディアムに表通りで聞き込み調査を、そして、俺はタロが居そうな路地裏を捜しているものの、収穫はない。時々念話もしてみるが、繋がる様子もなく、焦りばかりが募る。
「タロー?」
ゴミ捨て場の近くで、緑に茶色の斑点模様があるタロ並みのデブ猫が、何かを漁っているのを横目に、俺はタロも居ないかと呼び掛ける。すると……。
「ふにゃ? (あんた、タロの飼い主か?)」
そのデブ猫は、はたと動きを止めてこちらへと問いかけてきた。
「あ、あぁ、飼い主、というより、仲間だな」
「ふにゃん? ふにゃ(言葉が通じるのか? 珍しい)」
「なぁ、タロがどこに行ったか知らないか?」
猫とはいえ、あまり魔族であることをバラしたくはない。そう思って、タロのことを尋ねると、予想外の答えが返ってくる。
「ふにゃにゃ? ふにゃ(ここらの猫に呼び掛ければ、すぐに情報が集まると思うぞ? ちょっと着いてこい)」
猫は、単独でなら協力してくれることもあるが、その情報網を使おうと思ったら中々に難しい。しかし、それをこのデブ猫は簡単であるかのように話す。
「待て。俺はお前達に何かしてやった覚えはないぞ? 対価は何だ?」
このまま着いていけば、どんな対価を要求されるか分かったものではない。そう思って尋ねれば、デブ猫は顔だけこちらに向けて、そっけなく話す。
「ふにゃあ(ボスがタロを認めたから必要ない)」
「はっ?」
タロ。お前、俺達と離れてる間に、ボス猫と何を話したんだ?
俺は、タロが何をしてボス猫に認められたのかが気になりながらも、さっさと歩き出すデブ猫を見て慌てる。
タロが何かしでかすのは今に始まったことではないし、思えば、アルトルム王国でもタロは猫の情報網を使いこなしていた。もしかしたら、ボス猫の前でマウマウでも倒したのかもしれないなと思いながら、俺はデブ猫の後を着いて歩くのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回出てきた猫は、もちろん、ブチです。
そして、タロは自分で否定していましたが、タロとブチの体型はどっこいどっこいです。
タロは否定してましたがっ(←現実を直視したくなかったのねっ)
さぁ、バルディスはタロを無事、何事もなく救出できるのでしょうかっ?
それでは、また!
タロの外見は、太っていることだけではなく、服を着ているという点でも目立つ。にも拘わらず、目撃情報が一つもない。タロ捜しに繰り出すのが遅かったせいというのもあるのだろうが、それでも情報があまりにもないことは、精神的に負担だ。ラーミアも捜さなければならないというのに、タロまで行方知れずなど、冗談ではない。
「タロー、居ないかー?」
一先ずは、ディアムに表通りで聞き込み調査を、そして、俺はタロが居そうな路地裏を捜しているものの、収穫はない。時々念話もしてみるが、繋がる様子もなく、焦りばかりが募る。
「タロー?」
ゴミ捨て場の近くで、緑に茶色の斑点模様があるタロ並みのデブ猫が、何かを漁っているのを横目に、俺はタロも居ないかと呼び掛ける。すると……。
「ふにゃ? (あんた、タロの飼い主か?)」
そのデブ猫は、はたと動きを止めてこちらへと問いかけてきた。
「あ、あぁ、飼い主、というより、仲間だな」
「ふにゃん? ふにゃ(言葉が通じるのか? 珍しい)」
「なぁ、タロがどこに行ったか知らないか?」
猫とはいえ、あまり魔族であることをバラしたくはない。そう思って、タロのことを尋ねると、予想外の答えが返ってくる。
「ふにゃにゃ? ふにゃ(ここらの猫に呼び掛ければ、すぐに情報が集まると思うぞ? ちょっと着いてこい)」
猫は、単独でなら協力してくれることもあるが、その情報網を使おうと思ったら中々に難しい。しかし、それをこのデブ猫は簡単であるかのように話す。
「待て。俺はお前達に何かしてやった覚えはないぞ? 対価は何だ?」
このまま着いていけば、どんな対価を要求されるか分かったものではない。そう思って尋ねれば、デブ猫は顔だけこちらに向けて、そっけなく話す。
「ふにゃあ(ボスがタロを認めたから必要ない)」
「はっ?」
タロ。お前、俺達と離れてる間に、ボス猫と何を話したんだ?
俺は、タロが何をしてボス猫に認められたのかが気になりながらも、さっさと歩き出すデブ猫を見て慌てる。
タロが何かしでかすのは今に始まったことではないし、思えば、アルトルム王国でもタロは猫の情報網を使いこなしていた。もしかしたら、ボス猫の前でマウマウでも倒したのかもしれないなと思いながら、俺はデブ猫の後を着いて歩くのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回出てきた猫は、もちろん、ブチです。
そして、タロは自分で否定していましたが、タロとブチの体型はどっこいどっこいです。
タロは否定してましたがっ(←現実を直視したくなかったのねっ)
さぁ、バルディスはタロを無事、何事もなく救出できるのでしょうかっ?
それでは、また!
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