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第三章 セイクリア教国の歪み
第百八十四話 セイクリアの情勢(二)
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と、ここまでセイクリア教国国内のことばかり追及してきたが、問題はそれだけではない。
「ミルテナ帝国の様子は?」
「はっ、現在、戦力を帝国内に集結させつつあります。サナフ教国からも戦力を撤退させたとの報告が入ってきております」
教皇が病に倒れたことは、ごく一部の者しか知らない。しかし、それも長く続けば不審が広がる。その不審は徐々に、セイクリア教国を窮地へ追いやっていた。今や、教皇に何かがあったことは疑いようもないこととして、噂となってしまったのだ。
そこで出てくるのが、セイクリア教国と長年敵対関係にあるミルテナ帝国。現在、セイクリア教国の王は凡庸な者として知られており、それを補っていた非凡な教皇が使えない状態。しかも、教皇の息子である自分達は、今や継承権争いを行っていると言っても過言ではない。この状況は、ミルテナ帝国にとって大いに付け入りやすい状況だった。
「サナフ教国は、現在、新サナフ教国と名を変え、変革を行っている途中ですが……送り込んだ聖騎士団を撤退させますか?」
今攻め入られればひとたまりもない。それが分かっているからこそ、マルスは新サナフ教国を切り捨てる考えを示す。新サナフ教国に聖騎士団が居なくなれば、ミルテナ帝国だけではなく、周囲をルーグ砂漠に生きる魔物に囲まれていることから、国防が危うくなる。
アルトルム王国からサナフ教国の現状を聞いた当初は、ミルテナ帝国にまだ動きがなかったため支援をできたものの、今は正直厳しい状況だった。
「……いや、今撤退させるのは我が国の弱体化を公に示すことになりかねない。万が一、ミルテナ帝国が進軍を始めたとなれば、その時に撤退させよう。ここからミルテナ帝国までの距離を考えれば、それでも間に合うはずだ」
「はっ、承知いたしました」
本当は、撤退させられるものなら撤退させたい。そして、国内の聖騎士達が豹変していく問題を一日でも早く解決したい。しかし、それをして、やっと取り戻したばかりのサナフ教国を滅ぼされるのはなんとしても避けたい。
「あぁ、それと、あの薬師を呼べ。教皇様に唯一効いた薬を持ってきた彼女を」
「はっ」
理想的なのは、教皇の病が治り、聖騎士団やディルクがまともに戻ってくれることだ。そのためなら、どんな者の手でも借りたい。
そうしてしばらく待っていると、扉がノックされる。
「入れ」
「失礼します」
マルスに伴われてやって来た彼女は、大人の色香を纏った、美女。紫のロングヘアーに、淡く光る翡翠の瞳。赤く、ぷっくりとした唇をした、女性だった。
彼女は、ニッコリと笑って口を開く。
「何のご用でございましょうか? オルグ様?」
彼女は、ラーミアは、そう言って何もかもを見透かすような視線を投げ掛けるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やっと、やっと、ラーミアを出せたぁぁぁあっ!
ラーミアの不在が長すぎて、設定が分からなくなってないか心配ですが、きっと大丈夫?
いや、今回出すか、次回に出すか迷ったんですけどね?
今回出した方がインパクトがありそうだなぁと思って、思いきって出してみました。
……そろそろプロットが詰まりそうですが、また明日も更新しますね。
それでは、また!
「ミルテナ帝国の様子は?」
「はっ、現在、戦力を帝国内に集結させつつあります。サナフ教国からも戦力を撤退させたとの報告が入ってきております」
教皇が病に倒れたことは、ごく一部の者しか知らない。しかし、それも長く続けば不審が広がる。その不審は徐々に、セイクリア教国を窮地へ追いやっていた。今や、教皇に何かがあったことは疑いようもないこととして、噂となってしまったのだ。
そこで出てくるのが、セイクリア教国と長年敵対関係にあるミルテナ帝国。現在、セイクリア教国の王は凡庸な者として知られており、それを補っていた非凡な教皇が使えない状態。しかも、教皇の息子である自分達は、今や継承権争いを行っていると言っても過言ではない。この状況は、ミルテナ帝国にとって大いに付け入りやすい状況だった。
「サナフ教国は、現在、新サナフ教国と名を変え、変革を行っている途中ですが……送り込んだ聖騎士団を撤退させますか?」
今攻め入られればひとたまりもない。それが分かっているからこそ、マルスは新サナフ教国を切り捨てる考えを示す。新サナフ教国に聖騎士団が居なくなれば、ミルテナ帝国だけではなく、周囲をルーグ砂漠に生きる魔物に囲まれていることから、国防が危うくなる。
アルトルム王国からサナフ教国の現状を聞いた当初は、ミルテナ帝国にまだ動きがなかったため支援をできたものの、今は正直厳しい状況だった。
「……いや、今撤退させるのは我が国の弱体化を公に示すことになりかねない。万が一、ミルテナ帝国が進軍を始めたとなれば、その時に撤退させよう。ここからミルテナ帝国までの距離を考えれば、それでも間に合うはずだ」
「はっ、承知いたしました」
本当は、撤退させられるものなら撤退させたい。そして、国内の聖騎士達が豹変していく問題を一日でも早く解決したい。しかし、それをして、やっと取り戻したばかりのサナフ教国を滅ぼされるのはなんとしても避けたい。
「あぁ、それと、あの薬師を呼べ。教皇様に唯一効いた薬を持ってきた彼女を」
「はっ」
理想的なのは、教皇の病が治り、聖騎士団やディルクがまともに戻ってくれることだ。そのためなら、どんな者の手でも借りたい。
そうしてしばらく待っていると、扉がノックされる。
「入れ」
「失礼します」
マルスに伴われてやって来た彼女は、大人の色香を纏った、美女。紫のロングヘアーに、淡く光る翡翠の瞳。赤く、ぷっくりとした唇をした、女性だった。
彼女は、ニッコリと笑って口を開く。
「何のご用でございましょうか? オルグ様?」
彼女は、ラーミアは、そう言って何もかもを見透かすような視線を投げ掛けるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やっと、やっと、ラーミアを出せたぁぁぁあっ!
ラーミアの不在が長すぎて、設定が分からなくなってないか心配ですが、きっと大丈夫?
いや、今回出すか、次回に出すか迷ったんですけどね?
今回出した方がインパクトがありそうだなぁと思って、思いきって出してみました。
……そろそろプロットが詰まりそうですが、また明日も更新しますね。
それでは、また!
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